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TGR札幌劇場際 NEWS


TGR札幌劇場祭2017 講評④

約1ヶ月間に渡って開催されたTGR札幌劇場祭2017。
今年も、エントリー作品と向き合っていただいた審査員の皆様に心より感謝を申し上げます!
講評4回目は審査員の山口 祐佳さんです

【プロフィール】
北海道教育大学岩見沢校 芸術文化コース アートマネージメント音楽研究室 卒業

大学1年生の夏から演劇を観始める。とにかく観るのが好き。
大学在学時は、北海道教育大学岩見沢校の演劇研究会劇団ぱるふぇで制作を務める。
ゼミでの実習などを通し、様々な制作現場に携わる。

【講 評】
TGR2017に参加された劇団の皆様、関係者の皆様おつかれさまでした。
今年から審査員を務めさせていただくこととなり、自分はどういった基準で審査を行うかということをまず考えました。悩んだ結果、今年の私の審査基準としては、“もう一度友人を連れて再観したいと思う作品かどうか”という観点にしました。シンプルな基準ではありますが、再観したいと思う作品と一言で言っても、面白い作品、心に突き刺さるものがある作品、大切な誰かにも観てほしいと思う作品など色々な要素が詰まっていると思うのです。

1か月で約20本観劇するのは初めての経験でしたので、気合いを入れて臨みましたが、楽しみながら劇場をまわることができました。ありがとうございました。

今年から優秀賞や俳優賞が新設されたことにより、より多くの劇団や俳優にスポットを当てられるようになったことはとても良かったと思います。

それでは事前審査会で私が推した5作品について観劇順に述べたいと思います。

トランク機械シアター 「ねじまきロボットα ~ともだちのこえ~」
大人も子どもも楽しめる作品の真骨頂だと感じました。前説からホスピタリティが素晴らしく、心がほぐれた状態でスムーズにお芝居に入っていくことができたのが良かったです。トランク機械シアターの作品は初観劇でしたが、もっとはやくから観ておけばよかったなと思いました。ただ悪者を倒すだけではなく、アルファーが「ともだちになれなかった…」とつぶやくところが、ハッとさせられました。悪者は悪者と排除せず、いつか理解し合えるはずと信じるアルファーの姿勢に感銘を受けました。いつか自分に子どもができたら一緒に観たいと思える作品です。

MAM (Masuzawa Artist’s Meeting) 「月ノツカイ」
主人公である遠藤洋平さんの好演が光っていました。遠藤さんの新たな一面を観た気がしました。この作品は、北海道の歴史を語る上で欠かせない炭鉱操業時が舞台で、その時代を知らない20代の私でもまるでその時代にいるかのように体感できました。炭鉱事故の注水のシーンでは、俳優さんたちの熱演に思わず息を飲みました。観劇した後、数日後に千穐楽も再観しました。

ニッポンの河川 「大地をつかむ両足と物語」
俳優が照明と音響を兼ねるという、演劇というものの常識や固定概念を覆すような素晴らしい作品でした。また、物語自体も面白く惹きつけられるもので、時間軸がめまぐるしく切り替わり、リフレインしていく様も見事でした。東京公演では野外で行ったということで、ぜひ北海道でも劇場以外の場所で他の作品も拝見してみたいと思いました。

劇団コヨーテ 「路上ヨリ愛ヲ込メテ」
心に突き刺さるものがある作品でした。バラバラのストーリーがどこに行きつくのだろうと食いついて観ていました。登場人物たちが不器用ながらもそれぞれ一生懸命生きている様が愛おしかったです。ギラギラしたものを感じました。観劇後、自分は彼らのように毎日を懸命に生きているのだろうかと考えさせられました。

yhs 「白浪っ!」
これぞエンターテイメントと思いました。終始わくわくしながら観劇していました。豪華俳優陣に加え、脚本の面白さ、舞台美術等も含め全てが素晴らしかったです。また、オリジナルの主題歌もとてもかっこよく、数日間頭から離れませんでした。演劇を観るのが初めてという人でも楽しめる作品だと思いますので、再演される際はぜひ観劇が初めてという友人と一緒に観に行きたいと思います。

2013年から演劇を観るようになった私は、1ヶ月間で様々な作品を観ることができるTGRを毎年楽しみにしていました。また、2015年には当時所属していた大学の劇団で新人賞にエントリーし、TGRに参加しました。審査員の役目を拝命したことは大変恐縮ではありましたが、観客、参加劇団の一員とどちらの立場も経験してきたことを、審査員を務めるにあたり活かすことができるはずと信じ1ヶ月間劇場をまわりました。大変密度の濃い日々を過ごすことができました。ありがとうございました。来年も様々な作品に出逢えることを楽しみにしております。

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