SAPPORO ART STAGE 2016



TGR札幌劇場際 NEWS


TGR札幌劇場祭2016 講評⑨

TGR札幌劇場祭2016、講評9回目は大賞審査員の浅野目輝頼さんです。
審査員3年目のため今年で卒業。おつかれさまでした!
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【プロフィール】
1976年2月、岩見沢市に演劇鑑賞会を発足させたのち、8年後の1984年7月に脱サラし専従事務局長となる。1988年12月には美唄市にも演劇鑑賞会を発足させ、二市にまたがる鑑賞団体の事務局長を歴任。1991年1月に札幌えんかん(当時・「札幌演劇鑑賞協会」)と組織合併して、札幌の事務局に移籍。その後、「札幌中央演劇鑑賞会」や、本部機能をもつ「協会」の事務局長を歴任したあと、2002年1月に法人格を取得してからは、専務理事・事務局長に就任。
2014年年5月に「札幌えんかん」を定年退職。
現在は、(2013年に「岩見沢演劇鑑賞会」が解散したため) 居住地・岩見沢市で再び演劇公演(実行委員会形式による一般公演)を行うため活動中。

【講 評】
 審査員3年目の今回は最後なのではりきっていたのですが、11月下旬に風邪をこじらせ「肺炎」になってしまいました。大賞エントリーの18作品中あと3作品の観劇を残してドクターストップがかかり、最後まで観劇出来ませんでした。「事前審査会」や「公開審査会」にも出席できず、他の審査員の皆さんには大変ご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。
 「事前審査会」で絞られた大賞候補5作品と、「公開審査会」で正式に決定した大賞作品・特別賞の合計3作品を後日お聞きしました。観劇した15作品中、私が大賞候補として推薦するつもりだった2作品(「珈琲法要」「お伽の棺」)が、大賞と特別賞に選ばれていたので納得できました。
大賞に選ばれた青年団リンク・ホエイの「珈琲法要」は、役者たちの実力ある演技、骨太の脚本の素晴らしさ、緊張感ある演出に引き込まれ、大変見応えがありました。劇団カチノルの「お伽の棺」は、扉座の横内謙介版「鶴の恩返し」で、扉座公演を以前観たことがありますが、今回の韓国劇団も期待を裏切ることなく楽しく観劇出来ました。もう一つの特別賞を受賞した「ちゃっかり八兵衛」は、前述の理由で観劇出来なかったのでとても残念でした。
ほかに大賞候補5作品に選ばれていた劇団アトリエ「蓑虫の動悸」と、劇団words of hearts「ニュートンの触媒」についてひと言。「蓑虫の動悸」は、台詞がほとんどない静かな動きが延々と続きましたが、池を表現した舞台と照明の美しさは見事で、演者の動きも素晴らしかったと思います。ただ上演時間が長く感じられて、途中で集中力が途切れてしまいました。「ニュートンの触媒」は、何といっても脚本がとてもよく書けていたと思いました。展開構成や場面転換、セリフなど、プロの劇作家が書いたのでは…と思わせるものがあります。残念だったのは役者たちです。この本でプロの役者が演じたら素敵な舞台になるでしょう。
 ほかに観ていて安定感があり、今回も健闘していたと思うのは、トランク機械シアター、風蝕異人街、RED KING CRAB、ELEVEN NINES presentsなど。その中でも、TGR審査員になって知ったRED KING CRABは、とても気になる劇団です。作・演出の竹原圭一氏の芝居作りの特徴としては登場人物の設定をしっかり作り込むことのようですが、私は彼のそこに好感を持っていて、応援したい劇団です。今回の「カラッポ」はの台本をみせてもらいましたが、今回は何度も回想シーンがあり、それが劇展開(脚本構成力)として良い方に作用していなかったように思います。回想シーンの整理、セリフの検証を今一度してみてはどうかと思います。
 観劇した15作品すべてについてコメントを記しませんでしたが、ご容赦ください。
最後に、札幌の演劇人たちの日ごろの活動に敬意を表したいと思います。今後とも札幌の演劇文化の発展のために大いに頑張っていただきたいと思います。

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