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TGR 審査員の講評 【4】/本間恵さん

審査員の講評第4弾は、
審査員3年目、司書の本間恵さんです。

「途上の精一杯を感じさせる舞台をこそ推そう」。
それが本間さんの審査のポイントだったそうです。
果たしてその意味は?
講評をじっくりお読みいただければ。

(以下、いただいた原稿です)
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TGR2014に関わったすべての皆さん、お疲れさまでした。思いつくままに書きます。
今年は審査員任期満了の3年目でした。
事前審査では、7人いれば本当にいろんな見方があるんだなぁとあらためて感じました。
舞台では台詞(言葉)に依らないさまざまな表現がなされるのに、その、どの表現(作品)を推すのにも審査員が使えるのは自分の言葉だけです。舞台上に現れたナニカを感じとっても、私が言葉に変換できなければ、ほかの審査員に伝えられません。「うまく云えないけどなんだかよかった」と、友人にゴリ押しすることはできても、審査の場では通用しない。
その意味では、私の言葉では大賞候補5作品に残す説得ができなかった作品について、すまなく思います。

「途上の精一杯を感じさせる舞台をこそ推そう」というのが、私の審査のポイントでした。「途上の精一杯」とはどういうことかというと、もどかしさに耐えてみようとする姿勢、といえるかもしれません。問いかけたなぜ?にスッキリとした結論が出せなくても、既成の結論を引いてこない姿勢ということです。ここでいう既成の結論とは、劇団が稽古当初に思い描いていた結論も含みます。何が創造されていくのか、途上にあってはわからない。
でも、そのわからないもどかしさを追求せずに、仲間内の照査すらなく終わる創作も多かったと感じています。

intro『薄暮(haku-bo)』での「高野豆腐は好きだけど美味しいかわからない」っていう執拗なやりとりとか、時間堂『衝突と分裂、あるいは融合』の何度やりなおしても解決しそうにない原発の未来とか、弦巻楽団『ナイトスイミング』で現状を変える行動をなかなかとらない主人公とか、札幌座『禿の女歌手』の意味ありげなくせに意味なく延々とつづく対話とかー。これらはもどかしさをもどかしいまま見せてくれた舞台でした。今も反芻しています。しかし私は過去2年間、大賞候補に上がった5作品の一つに持ち点のすべてを投じてきましたが、今年初めて、最後の最後まで迷って複数の作品に票を分けました。それがどういうことだったのか、いい作品がたくさんあったから、というのでは納得しない自分がまだ居座っています。

若い人たちへー。こんな時代だから夢をー私もそう思います。ただし、「こんな時代」が「どんな時代」なのか、そこに立ち止まらずに夢を語っても薄っぺらい。どんな時代、どんな場所から作品を発信しているのか、自覚する必要を感じています。言わずもがなですが、審査会で評したこと、交流会で話したこと、ここに書いたことー。自戒を込めて云っています。発言は、働く自分に返ってくる。シンドイです。でもそう考えるきっかけをTGRはくれました。

最後にー。スケジュール調整・予算的なこととかを一切無視して云いますが、審査員にも、道外・海外から誰か招くとどうなるだろう?おもしろい複眼ができあがると思うのですがー。
司書なら誰でも知っている「図書館は進化する有機体である」という言葉があります。TGRもまた進化する有機体であってほしいです。おおいに迷う、貴重な3年間をありがとうございました。  (本間 恵)
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以上です。
本間さんは今回で審査員を卒業。。。
3年間、おつかれさまでした。
そして、ありがとうございました!

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