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TGR 審査員の講評 【1】/ドゥヴィーニュ仁央さん

TGRの各賞が発表されてはや一週間。
札幌の街はすっかり雪化粧。

さて皆様お待ちかね!
今年も7人の審査員の皆さんから講評をいただきました。

まずは審査委員長を務めていただいたドゥヴィーニュ仁央さんから。
ドゥヴィーニュさんは今回をもって審査員を卒業。
3年間の審査員、おつかれさまでした!!
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(以下、いただいた原稿です)
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劇団の皆様、関係者の皆様、一カ月間にわたりお疲れ様でした。
3年間審査に携わりましたが、大賞候補作品を選ぶとき、私は大まかに次の3つの間でいつも迷いました。

①自分が素直に良いと思う作品。
②意欲的な試みを応援したい作品。
③過去作からの成長ぶりを評価したい作品。

2年目3年目と続くと、特に若手劇団の場合は前作からの成長具合もよくわかります。また、似たような作品が並ぶ中で、挑戦を感じさせる作品はその心意気を買いたい。②と③を評価して、今後の創作の糧にしてほしいという思いがありました。
でも、札幌劇場祭の賞の性質について昨年ある程度自分の中で結論が出ていたので、今年は①オンリーで潔く挑みました。7人も審査員がいるのだから、その一人として自分の価値観を押し出していかないと、受賞作が「演劇に対して求めるものが異なる人が見たとしても、満足度の高い作品」にならないのでは、と思ったからです。だからこそ、審査員には「演劇に対して求めるものが異なる人」を揃えることが大事だと思いましたし、作品の質の高さは個人の好みを越えていくものだということも、今年実感しました。

さて。
「演劇に対して求めるものが異なる人」が集まる状況では、当たり前ですが、一つの作品に対する評価がまるきり異なる場合もあり、全員一致で「これは文句の付けどころがない!」なんてことはそうそう起こりません。
今年話し合いをしていて面白かったことは、自分がいいと思う作品やシーンが他の人にまるきり響いていないことを目の当たりにして、自分の価値観が揺らいだときでした。正確に言うと、自分の価値観が一度揺らいで、結局はまた元に戻る、その過程が面白かった。
「価値」なんて、どのコミュニティに属しているかで変わってくるものなので、どんどん揺らいだ方がいいんじゃないかなと思います。揺らいだ上で、「でも、自分はこれに価値があると思う」と再認識することが大事なのだと思います。つくり手に「自分の作品を一度疑ってみること」を説く以上、審査する側だって「自分のものさし(価値観)を一度疑ってみること」が大切なのではないでしょうか。

と、ここまで書いてあえて言いますが、一観客として見るなら、「自分のものさし(価値観)を疑ってみること」なんて面倒くさくてやりたくないです。同じ意見の人たちと盛り上がっていた方が、異なる意見に耳を傾けるより圧倒的に楽しいですもの。
集団で何かを選んで評価するというのは、その心理の真逆の作業が伴う、しんどい作業だなあと思いました。でも、賞審査に対するそういった姿勢が伝わって、道外から交通費や宿泊費をかけてまでエントリーしてみようと思う劇団が増えていくのは嬉しいことですね。多様な作品を見ることができる環境に近づいていくのは大歓迎です。
ということで、次回も海外・道外勢を交えたエントリー作品が出揃うことを祈りつつ。私はオーディエンス賞でシンプルに楽しみます。あー、3年間お疲れ様!自分!そして皆様、3年間どうもありがとうございました。

※自分が見た作品に関しては、全てウェブサイト「WG」( http://www.freepaper-wg.com/ )で紹介しているので、お時間のあるときに見てみてください。
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以上です。

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