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TGR 審査員の講評 【ラスト】/藤村智子さん

TGR札幌劇場祭2014、審査員の講評ラストは
TGRを主催する札幌劇場連絡会会長の藤村智子さんです。

札幌劇場祭は9つの劇場が企画を競い合う劇場の祭典。
藤村さんはその原点に立ち返り、今回のTGRを劇場ごとに振り返っています。

(以下、いただいた原稿です)

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札幌劇場祭のプログラムは札幌劇場連絡会に加盟する9つの劇場が企画する公演で構成されています。各劇場のラインナップがその年の劇場祭への興味関心を大きく左右します。各審査員の皆様は、当然参加作品に対する講評だと思いますので、私は今まで触れられる機会のなかった各劇場の企画という視点から振り返ってみます。

2014年劇場祭大賞はシアターZOO企画の韓国ソウルから参加したプロジェクト・アイランドによる「アイランド-監獄島」が受賞しました。また特別賞2つはコンカリーニョから、東京の劇団時間堂「衝突と分裂、あるいは融合」(作品賞)と地元札幌の劇団千年王國が小島達子演出「TOP GIRLS」(演出賞)が受賞しました。劇場祭を牽引する二つの劇場の面目躍如たるものがありました。

 ZOOは韓国から2つの劇団を招聘しました。劇場祭が開幕して間もない11月5日、6日に上演された「アイランド-監獄島」はその圧倒的な身体性と演技力で、この後にこれを超える作品が出てくるとは考え難いと思いました。もう1つは劇団可変「王女メディア-無残なメディアの詩」はソウル演劇祭の次世代の演出家コンクールで最優秀作品賞を受賞した作品。また盛岡市の劇団赤い風の「蛾と笹舟」も丁寧に作られた魅力的な舞台でした。札幌座はイヨネスコ「禿の女歌手」に挑戦し、一定の成果をあげたと思います。いずれも良質な作品が並び、劇場祭プログラムに奥行きを加える役割を果たしています。

コンカリーニョ企画の、特別賞[作品賞]を受賞した東京の劇団時間堂の作品「衝突と分裂、あるいは融合」も11月8日、9日と劇場祭前半での上演でしたが賞の候補作品として強く印象に残るものでした。また千年王國「TOP GIRLS」は他劇団から演出初経験の小島達子さんを起用するという思い切った手法が功を奏し、特別賞[演出賞]を受賞する快挙となりました。intoro「薄暮」は舞台美術も含め深い詩情漂う作品でした。コンカリーニョがレジデント劇団制なども含め、支援してきた劇団が今や札幌の実力派劇団として成長し、観客の期待に応えると同時に劇場祭のレベルアップにも貢献しています。

そして今年はBLOCHの企画の充実を評価したいと思います。公演する劇団も観客層も比較的若いのがBLOCHの特徴ですが、5企画のうちRED KING CRAB「おだぶつ」が新人賞を受賞した他、劇団coyoteが「愛の顛末」で大賞候補5作品の中に残りました。他は演劇集団遊罠坊「ひとかげ」、劇団パーソンズ「ハッカドロップ」、劇団アトリエ「愛と宗教」で、3劇団とも過去に劇場祭で新人賞を受賞している劇団であり、次の札幌の演劇界を担う存在として成長しています。劇場の性格を生かした良いラインナップだったと思います。
 
 札幌劇場連絡会には3つの公立劇場が加盟しています。その内2つは人形劇場のこぐま座とやまびこ座です。「人形劇団のレベルの高さに驚いた」と審査員の間で数年前からよく言われるようになっています。今年も新審査員から同様の感想を聞きました。老舗人形劇場のこぐま座、そして人形浄瑠璃を育ててきたやまびこ座、いずれも子供から大人まで楽しめる良質の作品が上演されています。今年20周年を迎えた、さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座「座・競演vol.5」の公演は審査員奨励賞となりました。いずれ人形劇が大賞候補となる日が来るかもしれません。

 もう1つは札幌市教育文化会館です。例年オペラ作品での参加が主でしたが、ホールやオペラ団体のスケジュール等で、近年はオペラ祭を構成する3団体が揃って劇場祭に参加することが少なくなっていました。一方で賞へのエントリーはないものの北海道教育大学岩見沢校が実験劇場として「奥様女中」を見せてくれました。ほぼ毎年劇場祭に参加し、今年も「愛の妙薬」を楽しませてくれたオペラ研修団体札幌オペラスタジオが、この公演を最後に20年の活動に幕を下ろしたこともあり、今後オペラ祭及び劇場祭への参加プログラムがどのように企画されていくのか、教文の次の一手に期待したいと思います。

PATOSは5劇団が公演。word of hearts「正しいけれど正解じゃない」、わんわんズ「晴れ時々爆弾のち侍」、ロックボトム実行委員会「Rock Bottom4」、岸田國士の戯曲「留守」「秘密の代償」に取り組んだFAP’S企画、そして弦巻楽団「ナイトスイミング」。弦巻楽団は大賞候補作5作品に残ったばかりでなく、パトスという劇場空間をよく把握し、自在に舞台を構成していたことも印象に残りました。劇場としてはそろそろ意識的に働きかけて構成する企画へと変化してもいい時期ではないかと思います。
 
サンピアザ劇場は学生演劇祭の「遠い夜の夢」、劇団fire works「明日あの子に会いに行く」、25周年を迎えた劇団32口径は記念公演「SMILE」を上演しました。サンピアザ劇場は従来から、さっぽろ学生演劇祭を支援してきました。劇場の特色を出す意味でも良い企画だと思います。学生演劇の傾向として学園祭的ノリとでもいうのか、自分達が楽しむことに終始して観客を忘れているような舞台になりがちです。そこから抜け出すために劇場ができることはないだろうか、と今回も思いました。

cube gardenは札幌放送芸術専門学校タレント総合科2年の「BORDER~時をこえたmessage~」が企画作品となりました。まだ成長過程の舞台でしたが、伝えたいメッセージを持った作品ではありました。札幌市内にはタレント養成学校が数校あります。劇場公演の経験は実力をつける貴重な機会です。教文は高校演劇や中学校演劇のために舞台技術のノウハウなどを指導していますが、cube gardenも同様の役割を担うことはできないだろうか、とふと思いました。

以上、長くなりましたが9劇場の企画を概観してみました。劇場が劇場ならではの目を働かせて、あの劇場から上演の打診があった、ということが劇団の喜びとなるような状況が生まれたら、劇場祭はもっと面白くなると思っています。審査員であると同時に劇場連絡会の当事者としてのテーマでもあります。
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以上です。

これでTGR札幌劇場祭2014も終了です。
参加した劇場、劇団、そして審査員の皆さん、
おつかれさまでした。
そしてなによりも劇場に足を運んでいただいた皆さん、
ありがとうございました!
来年のTGRにもどうぞご期待ください。

今年も残りあとわずか。
皆様良いお年を。

また来年11月にお会いしましょう!

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TGR 審査員の講評 【6】/有田英宗さん

審査員の講評、6人目は、審査員2年目の有田英宗さんです。
有田さんは年々注目が高まる札幌の人形劇についてふれています。
札幌のアートシーンの大きな特色のひとつといえる人形劇。
皆さんもぜひ劇場で体験してみてください!

(以下、いただいた原稿です)
アリタ

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 今年も多彩な人形劇が楽しめた。
人形浄瑠璃からフィギャア・アートと銘打ったものまで。
人形はバラエティに富み、カラフルだった。演出にそれぞれの工夫があり面白かった。

 その中で、いつも感じることは人形と遣い手の主張のバランスである。
人形より人間が見えすぎて興をそがれることがあった。

 ヒトが見えることが悪いのではない。動くヒトが人間として立ち現れると、人形はたちまち物体に転落する。人形は人間のように、人間は人形のように、両者の折り合いをつけるのは至難の技だろう。

 人形浄瑠璃の遣いは、古来 頭巾をかぶっていたが江戸時代から顔をみせるように
もなったという。遣いの人間としての魅力も見せるためだが、これができるのは奥義に属するようなことだろうと思う。

 今年は人形劇そのものではなくとも、ロボットの登場や着ぐるみ、動物のかぶり物を使った芝居も目立った。札幌座「禿の女歌手」はアフタートークで演出の清水友陽さんが役者の動きは人形劇風を意識したと語っていた。

 2011年に札幌で平田オリザ脚本・演出でアンドロイド演劇「さようなら」が上演された。この人間型ロボットを作ったのが大阪大学の石黒浩教授だ。石黒さんはロボットとは人の心を映す鏡だという。人は人に自分を投影して生きている。ロボットに投影される人の心とはどんなものなのだろうか。

  最新のニュースで 大手広告代理店がタレントのマツコ・デラックスをモデルに
忠実に再現したロボット「マツコロイド」を開発したという。この監修をしたのが石黒教授だ。「マツコロイド」はロボットタレントとして活動開始するという。
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(以上です)

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TGR 審査員の講評 【5】/浅野目輝頼さん

審査員の講評5人目は、今年から就任していただいた浅野目輝頼さん。
浅野目さんは「さっぽろえんかん」(演劇鑑賞会北座)の事務局長として
これまで国内TOPクラスの演劇作品を数多く観られてきた方です。
そんな浅野目さんに果たしてTGRはどのように映ったのでしょう。

(以下、原稿です)
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TGR2014 (札幌劇場祭) に参加された劇団の皆さん、関係者の皆さん、大変お疲れ様でした。
約30年間、「演劇鑑賞団体」の専従事務局長だった関係で、これまでは東京を中心とする劇団(いわゆるプロ劇団)の作品を観劇していたので、地元で活動する劇団の舞台は、あまり観る機会がありませんでした。
今回審査員になったおかげで、地元劇団の数多くの舞台に初めて触れることができました。
そのため私は、他の審査員の皆さんと違って過去の舞台作品からの成長ぶりは分かりませんので、今回観劇した作品群の中から比較検討する方法で『大賞候補』の選定に臨ませていただきました。また、プロの舞台を鑑賞してきた経験が長いので、地元劇団は観るに堪えない作品が多いのではないか (生意気ですみません(^^;) ) という潜入意識をもたないよう、自分に言い聞かせて観劇しました。結果は、プロにも劣らない優れた舞台に幾つか出会えて驚きました。頼もしく思えたし、大変うれしいことでした。

「札幌劇場祭」スタート前の審査員の紹介コメントに、『 (大賞候補の)ノミネートにあたっては、私にとって心に残る舞台であるかどうか、また、創る側の真摯に取り組んでいる姿勢に共鳴できたかどうかが、その選択視になるかと思います。観客席の反応も楽しみながら観劇させていただきます。』と書きました。そして、審査基準として、『演劇は、総合舞台芸術なので、私は、脚本・演出・演技だけでなく、舞台美術・照明・音響などの効果も評価の基準にさせていただきたいと思います。』と記述していました。

『大賞候補』を決める審査員の皆さんとの事前検討会では、私は下記の5作品を推薦しましたが、私が推薦した作品からは3作品が最終的に残りました。この検討会では、他の審査員の方々の「観劇評」に大変刺激を受け、とても有意義な時間を過ごすことができ、かつ勉強になりました。
事前検討会でどんな刺激を受けたかと言いますと、他の審査員のみなさんは、(当然といえば当然なのですが) 地元の劇団のことをよく知っていること、そして、地元で優れた舞台作品の誕生を心から期待し、地元で活動する人々を基本的に愛している、ということです。皆さんがしっかり地元に根を張っていることを知りました。
『自分は、まだまだだなぁ…』と痛感した次第です。

「事前検討会」で浅野目が『大賞候補5作品』に推薦したもの
( ★は、「事前検討会」で審査員全員によって『大賞候補5作品』に選ばれた作品 )
★プロジェクト・アイランド「アイランド—監獄島」
★千年王國プロデュース「TOP GIRLS」
劇団赤い風「蛾と笹舟」
★弦巻楽団「ナイトスイミング」
劇団32口径25周年記念公演「SMILE(スマイル)」

個々の作品の感想は、全作品に触れず申し訳ありませんが、「公開審査会」で大賞を受賞した「アイランド—監獄島」(私も大賞として票を投じた作品) と、「事前検討会」での浅野目推薦のうち、残念ながら最終的に『大賞候補作品』に選ばれなかった2作品についてのみ、自分自身の記録的意味もこめて推薦した理由となった感想を記述しておきたいと思います。大賞を受賞した「アイランド—監獄島」以外の候補作品は、「公開審査会」で既にいろいろ講評されておりますので省略させていただきます。

プロジェクト・アイランド「アイランド—監獄島」
受刑者ジョンとウィストンを演じた役者2人の演技力が素晴らしく、見応えのある芝居でした。2人の緊迫感のある台詞の応酬は、感情の起伏、変化がビンビン伝わってきました。特に、同房の相棒が出獄(釈放)できることになり、それを自分のことのように喜びつつも、どこかで嫉妬する(妬む)気持ちを抑えられないという複雑な心情を見事に演じていたと思います。反体制思想の芝居を上演し、怒りをこめて権力に戦いを挑む最後のシーンは圧巻でした。
上演すればせっかくの出獄そのものが取り消されるかもしれないのに…と、観客としては、心が震えて仕方ありませんでした。感動的でした。舞台に敷き詰められた砂も効果的だったと思います。完成度の高い、素晴らしい舞台でした。

劇団赤い風「蛾と笹舟」
岩手県で初の直木賞を受賞した作家・「森 荘已池(もり そういち)氏」の小説を、単に朗読するのではなくて、小説の文体を丸ごと「セリフ」にして演じることで、演劇として成立させていたと思います。小説を読み上げるという芝居は単調になりがちなのですが、1人の人物を何人かの役者たちで交互に入れ替わり演じる手法を取り入れることで、トーンの変化も出て集中して観ることができました。役者たちのレベルも高いと思いました。
カラの植木鉢や、水の入ったグラスなどを使った「生演奏」も効果があったと思います。
私はこの作品も完成度が高いと思い大賞候補5作品の一つに推薦したのですが、最終的に選ばれなかったので残念に思っています。

劇団32口径25周年記念公演「SMILE(スマイル)」
人間の勝手な都合で毎年数多くのペット (犬や猫たち) が捨てられたり、その尊い命が理不尽に奪われています。悲しいかな、それが現実です。この舞台は、身体のどこかに障害を持つ犬たちが保護施設に収容され、飼い主が見つからず殺処分されていくさまをまっすぐに取り上げていて、その姿勢に好感が持てました。
犬たちにも心がある、しかし人間にはその心(声)が届かない、という様子が、犬の立場から描かれていたことがよかったと思います。犬たちの衣装はイマイチでしたが、ギャグは微笑ましく感じたし、息の合ったダンスは切れもあり良かったと思います。キラリが亡くなるシーンは涙を誘ったし、アリスの飼い主が見つかる最後のシーンはホッとした気持ちになり、静かな感動を与えていたと思います。
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(以上です)

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TGR 審査員の講評 【4】/本間恵さん

審査員の講評第4弾は、
審査員3年目、司書の本間恵さんです。

「途上の精一杯を感じさせる舞台をこそ推そう」。
それが本間さんの審査のポイントだったそうです。
果たしてその意味は?
講評をじっくりお読みいただければ。

(以下、いただいた原稿です)
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TGR2014に関わったすべての皆さん、お疲れさまでした。思いつくままに書きます。
今年は審査員任期満了の3年目でした。
事前審査では、7人いれば本当にいろんな見方があるんだなぁとあらためて感じました。
舞台では台詞(言葉)に依らないさまざまな表現がなされるのに、その、どの表現(作品)を推すのにも審査員が使えるのは自分の言葉だけです。舞台上に現れたナニカを感じとっても、私が言葉に変換できなければ、ほかの審査員に伝えられません。「うまく云えないけどなんだかよかった」と、友人にゴリ押しすることはできても、審査の場では通用しない。
その意味では、私の言葉では大賞候補5作品に残す説得ができなかった作品について、すまなく思います。

「途上の精一杯を感じさせる舞台をこそ推そう」というのが、私の審査のポイントでした。「途上の精一杯」とはどういうことかというと、もどかしさに耐えてみようとする姿勢、といえるかもしれません。問いかけたなぜ?にスッキリとした結論が出せなくても、既成の結論を引いてこない姿勢ということです。ここでいう既成の結論とは、劇団が稽古当初に思い描いていた結論も含みます。何が創造されていくのか、途上にあってはわからない。
でも、そのわからないもどかしさを追求せずに、仲間内の照査すらなく終わる創作も多かったと感じています。

intro『薄暮(haku-bo)』での「高野豆腐は好きだけど美味しいかわからない」っていう執拗なやりとりとか、時間堂『衝突と分裂、あるいは融合』の何度やりなおしても解決しそうにない原発の未来とか、弦巻楽団『ナイトスイミング』で現状を変える行動をなかなかとらない主人公とか、札幌座『禿の女歌手』の意味ありげなくせに意味なく延々とつづく対話とかー。これらはもどかしさをもどかしいまま見せてくれた舞台でした。今も反芻しています。しかし私は過去2年間、大賞候補に上がった5作品の一つに持ち点のすべてを投じてきましたが、今年初めて、最後の最後まで迷って複数の作品に票を分けました。それがどういうことだったのか、いい作品がたくさんあったから、というのでは納得しない自分がまだ居座っています。

若い人たちへー。こんな時代だから夢をー私もそう思います。ただし、「こんな時代」が「どんな時代」なのか、そこに立ち止まらずに夢を語っても薄っぺらい。どんな時代、どんな場所から作品を発信しているのか、自覚する必要を感じています。言わずもがなですが、審査会で評したこと、交流会で話したこと、ここに書いたことー。自戒を込めて云っています。発言は、働く自分に返ってくる。シンドイです。でもそう考えるきっかけをTGRはくれました。

最後にー。スケジュール調整・予算的なこととかを一切無視して云いますが、審査員にも、道外・海外から誰か招くとどうなるだろう?おもしろい複眼ができあがると思うのですがー。
司書なら誰でも知っている「図書館は進化する有機体である」という言葉があります。TGRもまた進化する有機体であってほしいです。おおいに迷う、貴重な3年間をありがとうございました。  (本間 恵)
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以上です。
本間さんは今回で審査員を卒業。。。
3年間、おつかれさまでした。
そして、ありがとうございました!

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TGR 審査員の講評 【3】/岩﨑真紀さん

審査員の講評第3弾は、
審査員1年目のフリーライター・岩﨑真紀さんです。

下記のいただいた原稿の中にもありますが、
岩﨑さんは、ご自身がライターとして参加している
ホッカイドウマガジン「カイ」のスタッフブログに個別の作品考察を載せています。
こちらもぜひ、あわせてお読みいただければと思います。

(以下、いただいた原稿です)

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2014年のTGRは、道外作品が上位を占める結果となった。札幌の演劇関係者には悔しい限り、来年は大賞奪還のためにさらに練り込んだ作品を持ってくるだろうし、「我こそは」という劇団が参加することも考えられる。今から観劇が楽しみだ。
個別の作品考察についてはホッカイドウマガジンカイのスタッフブログ上の記事http://www.kai-hokkaido.com/blog/?p=9988をお読みいただくとして、ここでは大賞・新人賞選考を中心に思うところを述べる。

プロジェクトアイランド『アイランドー監獄島』は、重要な場面の演出に物足りなさを感じたものの、脚本のテーマの普遍性と圧倒的な演技力において、他の追随を許さないものがあった。大賞の受賞には納得する思いがある。

時間堂『衝突と分裂、あるいは融合』については、私はこの作品を支持しなかった。
1) 作品で説明されるエネルギーと原発を巡る諸事情は、私には既知のものだった
2)私は「食糧危機と遺伝子組み換えと自然農法」等々の農業分野の問題について、ライターとして劇作家が本作に掛けたのと同種の熱意で向き合ってきた。作品で示された「社会には多様な立場とそれぞれの正義があり、選択の過ちは未来でしかわからない」「人はその混沌の中で煩悶しつつ生きねばならない」という苦しみとも長馴染みであり、「そうであったとしても、生きていく支えになるものを示すことに意義がある」と考えるところにやっとたどり着いた人間なので、作品のラストが物足りなかった
上記理由より、物語としての面白さや劇的さへの配慮はそれほど重視していない本作を、私はあまり楽しめなかった。しかし、そのような人間はごく少数だろう。
現代日本が抱える問題の要点を捉えて答えのない混沌を脚本化し、創意工夫に富んだ演出で舞台化したのは見事だった。ゼロからこのような作品を生み出すことには社会的意義があり、次点での特別賞受賞は妥当と思う。

劇団千年王國 千年王國プロデュース『TOP GIRLS』は、海外脚本を丁寧に読み解いて、過不足のない演出で舞台化した。私は特に「過」のない点を高く評価した。
札幌で創造される名作脚本の舞台は、読解やテンションの不足したもの、でなければ「過」のあるものが多いと感じている。「過」とは、本来は不必要な「場面の面白さ」やダンス・歌・音楽などによる観客サービス、わかりやすさを重視しすぎて結末まで変える、というものだ。このような「過」は、演出家が役者の演技力を疑っているか、観客の無言という緊張感に耐えられないか、観客の読解をそもそも信用していないためだと思う。観客の読解が信用ならないというのは、往々にしてその通りだろう。しかし、だからといって「過」に走ってばかりでは、勝負を投げているようでいただけない。
『TOP GIRLS』は、役者の力を信じた演出家が真っ向勝負に出て、伝えるべきものをきちんと整理・修正してリアルを立ち上げることに成功している。主要な女優陣の力量も素晴らしく、ラストまでテンションを維持した。しかし作品のテーマであるジェンダーの問題は、性別・年齢・職業、結婚・出産経験その他によって見解が大きく異なってくる。それを越えて幅広い層の共感を獲得するには少しばかりの不足があったようだ。上位を道外の二作品に譲ったのはやむを得ない。
一方で、私は名作脚本をこのような誠実な演出と高い演技力で舞台化したものが、札幌演劇の周縁にいるファン予備軍の期待しているものだろうと考える。札幌には「札幌座」があるが、新しい観客を呼び込むには新しいカラーが必要だ。また、作り手がこのような演劇創造を通して学ぶことが、「新作脚本による新しい演劇の創造」を底支えするとも思う。札幌の劇団が定期的に本作のような挑戦をすることを歓迎する気持ちがあるため、私は『TOP GIRLS』が他の札幌作品を抑え、演出賞という形で特別賞を受賞したことに満足している。

弦巻楽団『ナイトスイミング』については、この作品で弦巻楽団が大賞を受賞することを良しとしない思いがあった。劇作の弦巻啓太は構成力に信頼のできる、札幌では秀でた書き手だと私は思っている。しかし『ナイト~』については観劇中から、弦巻作品にしては「手慣れた手法に新しい素材を入れて手早く仕上げた」または「素材に夢中になるあまりに設定がちょっとおろそかになった」というような荒さがある気がしてならなかった。この劇作家なら、同じ素材でもっと小気味の良い脚本が書けるはずだ。それは私を含め、より多くの人の胸に響いただろう。
とはいえ『ナイト~』は演出の工夫も役者の熱量も素晴らしく、娯楽作品としての完成度は高かった。観客がオーディエンス賞という形でこの作品に栄誉を与えたことを嬉しく思う。

劇団coyote『愛の顛末』は非常にパンチのある個性的な作品で、優等生的な作品にはないアングラ風の魅力があった。落語のサゲのように「愛の顛末」に落ち着く構成が面白い。しかし雑多な盛り込みが特徴の作品とはいえ、大賞とするにはそぎ落としたほうがいいものがあると感じる。今回の作品を上回る、強烈かつ洗練された次回作を期待する。

また、大賞ノミネートとはならなかったが、有力な候補の一つであった作品にintro『薄暮-hakubo-』がある。札幌で創られたものとしては希少な抽象性の高い作品であり、詩的なセリフや印象的な美しいシーンで独特の世界を創り出していた。抽象作品に対してコメントするのは難しいのだが、しいていえば有効射程の問題であったように思う。もっと深く、あるいはもっと広く響かせるための「何か」が必要だったのかもしれない。

新人賞については、他の審査員からは「今年は不作」との声もあったが、私は受賞作であるRED KING CRAB『おだぶつ』を強く推した。未熟な点は多々あったが、「犬」を使った構成は、新人賞対象から数年を経過した劇団の作品にも勝るものを感じた。テーマに対して真摯に向き合った姿勢も好印象だった。

さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座「座・競演vol.5」には、その企画に対して審査員奨励賞が贈られた。今回の上演企画では、伝統芸能の分野で道外に学びながら競い合って成長し、その一角を担おうという意気込みが感じられた。また、若手を披露し経験を積ませるという意図も良かった。
小粒な作品が多かった今年のTGR前半において、ひときわ強い輝きを放った存在だった。型や様式の持つ美しさと説得力は、自意識が氾濫する作品の鑑賞に疲れていた私をリフレッシュさせてくれた。受け継がれてきた「劇的なもの」の強さを再発見する機会ともなった。

個人的に残念に思うのは、現代的な人形劇に大人の心を揺さぶるような作品がなかったことだ。公立としては初の人形劇専門劇場を設立し、数々の優れた人材を輩出してきた札幌。劇場祭の大賞候補に人形劇作品の名が出ないのは淋しい。来年は「札幌に人形劇あり!」と知らしめるような作品が登場することを期待している。

その他、印象に残っていることとして、演劇専用小劇場BLOCKの一連の企画がある。非常によく若手劇団のケアをしていることが感じられた。

TGR全体としては「不用意な映像の使用」が印象に残った。映像には目を引きつける強い力があり、役者よりもそちらに注意が向く。役者の身体で存在しないものをイメージさせようとしているときに、イメージそのものである映像が登場してくると、私の脳は自分でイメージを創ることを停止しがちだった。私は演劇では想像することを楽しみたい。映像を使用する際にはその効果をよく考えて使ってほしい。

また、今回のTGRの観劇で、脚本そのものに劇的な仕掛けがある作品は「何が足りなくとも、ひとまず面白い」と実感した。目新しい演出に頼る作品は、既視感を持った時点でつまらなくなる。
私は劇的な仕掛けのある脚本が好きだし、劇的効果を高めるための脚本家・演出家らの創意工夫と生身の役者の「芸」を観るのが好きだ。彼らにしてやられるために劇場に行くのだ。劇的なものがないなら、何を見せるかについて演出家が自覚的であるものを観たい。来年はぐうの音も出ないほどに私を叩きのめす作品が続出してくれたら、これほど嬉しいことはない。

今年初めて審査員を務めたため、1カ月という長丁場の観劇は、終わりのない一人旅のように感じられて辛いものがあった。しかし事前審査の場での他の審査員の方々との討論は非常に楽しく、様々な視点があることや、参照すべき作品について教わる有意義な場でもあった。このような機会を与えてくれた札幌劇場連絡会の方々、他の審査員の方々に感謝申し上げたい。
また、TGRで上演されたような、多種多様な舞台作品の創造を日々支えている劇場関係者の皆さんの努力に対し、それを享受する側である札幌市民の一人として、心からの敬意と感謝を捧げたい。

何かを審査するという経験は初めてであり、至らない点、言葉の過ぎた点などがあると思う。誠心誠意務めたことに免じてお許しいただきたい。また、演劇には半可通な観客であり、考察・発言には勘違いなどもあったと思う。お気づきの方にはぜひご助言いただければと願っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(以上です)

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TGR 審査員の講評 【2】/加納尚明さん

審査員の講評第2弾は、
今回で審査員2年目の加納尚明さん(一般社団法人プロジェクトデザインセンター代表理事)です。

加納さんは、札幌に演劇産業が拡がり、一人でも多くの志高い若者が
「演劇で飯が食える」ようになることを願い、観劇した作品に
独自の視点で「値付け」をされています。

実際の料金と加納さんの「値付け金額」、どちらが高いのか、安いのか。

ではでは、ご一読を。

(以下、いただいた原稿です)
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吾輩は、長嶋茂雄である。
「球がこうスッと来るだろ」
「そこをグゥーッと構えて腰をガッとする」
「あとはバァッといってガーンと打つんだ」
(少年野球教室にて)
私の講評は、こんな感覚で読んでください。

今年で審査員二年目です。昨年同様、札幌に演劇産業が拡がり、一人でも多くの志高い若者が「演劇で飯が食える」ようになることを願って、今年も「値付け」させてもらいました。
値付けには、「期待値」と「相対値」が大きく影響します。昨年観て、期待の高まっている劇団は、その期待との勝負にもなります。また、これだけいろいろな分野(現代劇、抽象劇、人形劇、浄瑠璃、オペラ、海外作品など)を同じモノサシで比べるのは、至難の業です。ほんとうに今年は悩みました。あの作品がこのくらいなら、この作品はこのくらいだよなあ。。。という上下比較が交錯します。

前置きはこのくらいにして、まず上位クラス(3,500円以上)は、「プロジェクト・アイランド」「時間堂」「劇団千年王國」の三劇団でした。いずれもそれぞれに総合的に値打ちのあるお芝居でした。大賞、特別賞を受賞したことからも多様な視点から上位であったことがわかると思います。
次に今年の特徴として2,000円グループと1,800円グループが形成されました。
2,000円グループは、「座・れら」「トランク機械シアター」「intro」。
1,800円グループは、「劇団可変(カビョン)」「ロックボトム実行委員会」「劇団パーソンズ」「劇団アトリエ」「劇団32口径」「劇団赤い風」。
この200円の差が、大きな差なのだと感じます。それぞれに、何かが物足りない。それが200の大きな差なのです。
また、2,500円~3,000円の「札幌オペラスタジオ」「さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座」「札幌座」「弦巻楽団」は、2,000円グループに対して、それぞれに秀でる何かがあった作品でした。

では、個々の作品の値付けを紹介します。

11月1日 人形劇団ぱぺっとグース  お代1,000円>料金300円
演者が活き活きとしていてそのオーラが人形に現れていました。おもしろい舞台空間でした。たくさんの子どもたちが身を乗り出して観ている光景には、心が和みました。

11月1日 words of hearts お代1,300円<料金2,000円
全体を通して腑に落ちない芝居でした。登場人物の描き方や扱い方にどうも腑に落ちない点が多かったです。劇団として総合的に一定のクオリティがあると思うので、脚本をもっともっと練るとみどころを表現できる深みのある芝居になると思います。
昨年のTGR2013でとても好印象の劇団だったので、今年は期待値が高かった分、厳しい見方をしたかも知れません。

11月2日 座・れら お代2,000円<料金2,500円
フィギュア・アートという試みがとてもおもしろかった。通常の人が演じるお芝居とはまた違った表現を観ることができました。また演者の多様さが市民劇的な文化を感じました。

11月2日 演劇集団遊罠坊 お代1,000円<料金1,800円
お芝居にはストーリーがあり、最後にぞれぞれの帰結があると思うのですが、どうもつながってこない、見えてこなかったという感想です。いろいろな視点から考えてみたけど、何をどのように表現し、伝えたかったのか?しっくり来ませんでした。役者さんたちの演技は今年も真っ直ぐな感じで好感を持てました。

11月5日 プロジェクト・アイランド お代4,500円>料金2,500円
演技、音楽、照明、演出等々、総合的にとても見応えのある心に残るお芝居でした。1時間50分という長さを全く感じず、ずっと魅入っていました。特に、音楽と照明は傑出しており、リアリティと芸術性の両面を深く感じました。
お芝居は、どれだけ早く観客をお芝居の中に引き込めるかが一つの勝負なのですが、タイトルの「監獄島」とオープニングの音楽によって、一瞬にして“その場”に引き込まれました。
字幕劇には、ハンデがあると思うのですが、そのハンデを跳ね除ける迫力あるお芝居でした。

11月7日 札幌オペラスタジオ お代2,500円<料金4,000円
正直に言って、本格的なオペラを観たのは初めてでした。そんな私が審査員として評価するのはなんとも心が痛いので、初めて本格的なオペラを観た一人の人間の感想として記します。
お芝居と生歌と生音楽が混ざり合うおもしろさを感じました。ミュージカルとはまた違う味わいもあり、役者さんの技量もあったと思いますが、全体的に物足りなさも感じた観劇でした。

11月8日 トランク機械シアター お代2,000円>料金1,000円
トランク機械シアターは、“人形劇”という枠を超えた、“こども愛劇”と呼びたい。演者全員の表情、声、体の動きなど持てる全ての表現を通じてこどもたちへの温かな愛情が感じられました。舞台にいるお兄さん、お姉さんとの時間は、こどもたちにワクワクする心、優しく抱きかかえられる安心の心を感じさせてくれる舞台でした。
彼らの愛がこどもたちの心を育む。応援したいと思わせてくれる劇団でした。彼らのオーラに一番癒されていたのは私だったかも知れません。

11月8日 時間堂 お代3,500円>料金2,800円
実によく練られた素晴らしい舞台でした。脚本、演出、演技など総合的にチカラがあり、時間を全く気にせず最後まで興味深く観ていました。特に、セリフの一言、一言に奥が深く、ズシ、ズシと本質を突いていて、ふと我を振り返ることも多かったです。
時間堂の7名のキャストがしっかりと構成された上で、地域キャストが脇を添えることで地域キャストにとっても良い勉強になったでしょう。

11月8日 わんわんズ お代300円<料金2,000円
お芝居そのものは何がしたいのか?全くわからないし、申し訳ないですが興味をひかない内容でしたが、50分で終わらせた潔さに清々しさを感じました。きっと作品を創っていく中で、悩み、もがいた作品だったと思います。無理に無駄な枝葉末節を垂れ流す芝居がよくあるのですが、そうならなかったのは、自分たち自身が真におもしろい作品ではないことを自覚した結果ではないでしょうか?そこが潔いと思いました。

11月9日 さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座 お代2,500円>料金2,000円
北海道で唯一の人形浄瑠璃芝居一座の20周年を記念した特別企画の公演とのことで、日本の伝統芸能を北海道で観られることに喜びを感じました。また演者は若い人も多く、将来性を感じました。伝統芸能の奥深さが多くの世代に楽しまれるために観る機会が増えていけばと思います。

11月9日 RED KING CRAB お代500円<料金1,500円
“家族”をテーマにした作品でしたが、最後まで舞台上の4人が家族には見えて来なかったです。腑に落ちないセリフが多く、脚本の甘さが気になりました。柱が無いというか、あちこちよそ見しているバラバラな感じでした。「エンディングノート」に目を付けた点は良いと思うので、柱にすれば良かったと思いました。
また演出も最後までしっくり来なかったです。約1時間50分の舞台でしたが、精査すると1時間くらいでも十分な舞台だったと感じました。

11月9日 劇団可変(カビョン) お代1,800円<料金2,500円
シンプルな舞台構成だが、演出、空間の雰囲気、音、光とお芝居の内容が混じり合い、一つの演劇としての世界観を創り出していました。原作を読んだわけではないですが、自分たちの作品としての表現をしていたと思います。

11月11日 札幌放送芸術専門学校 お代700円<料金1,000円
演出、演技、音響などいろいろ気になった点もあるが、死に急ぐ女子高生と死にたくない兵士が出逢い、生きることを考えるストーリー展開はおもしろかったです。ストーリーの中に組み込まれた漫才は勢いがあっておもしろかったと思います。

11月14日 劇団千年王國 お代3,500円>料金2,500円
チカラのある役者さんたちがしっかりとした作品に取り組むとこういうふうに見応えのある舞台になるのだなあと実感する舞台でした。特に、ラストの姉妹のやりとりは実にリアリティのある迫力がありました。役者さん同士のチカラとチカラが相乗効果を創出していたように感じました。
今、この脚本を選んだことにも意味を感じます。女性が活躍する社会とはどんな社会でしょうね?

11月14日 さっぽろ学生演劇祭 お代300円<料金500円
キャスト24名、スタッフ20名の総勢44名の合作という点では学生らしいお芝居だったと思います。但し、芝居の内容という点からは見所を感じることはできませんでした。学生だからこその視点、学生だからこその冒険、チャレンジを感じられなかったのが残念でした。合同祭だから小さくまとまるのではなく、合同祭でしかできない挑戦に期待したい。

11月15日 ロックボトム実行委員会 お代1,800円<料金2,500円
役者さんもよかったし、音楽もよかったし、脚本も悪くはないのですが、あと一歩何かが足らない感覚で観終わってしまいました。何が足らないのか?明確には答えられないのですが、無難に納まっているというか、深掘り感がなく、伝わってくるものが浅く感じました。全体としてはよくできたお芝居だとは思いますが、もっとおもしろいお芝居になると思いました。

11月15日 劇団パーソンズ お代1,800円<料金2,000円
小気味よいテンポ、役者さんのハツラツとした姿、物語の展開などとても楽しいお芝居でした。パーソンズスタイルが少しずつカタチになっているように感じます。
70分ちょっとのお芝居でしたが、ダラダラ詰め込んで長引かせなかったのがよかったです。今の実力通りのお芝居だったと思います。これから先さらに芝居を重ねることで90分、120分の楽しいお芝居が創れるようになってもらいたいです。

11月17日 札幌座 お代3,000円>料金2,500円
標準的な価値観ではなく、新たな価値観、視点から演劇の魅力を発信しようとする挑戦的なお芝居に感じました。そして役者さんたちの役になり切るチカラが凄かった。あの訳のわからない支離滅裂なセリフを次から次へと展開していきながら観客を惹きつけるのは、並外れた役者力・演出力だと思います。
万人受けはしないでしょうが、こういうお芝居もあるのだなあと心に残るお芝居でした。

11月20日 劇団Fireworks お代300円<料金1,500円
お芝居には、舞台上に“登場人物”が存在する。発表会は、舞台上に“演者”が存在する。この違いがお金を取れるか取れないかの境目だと思います。
そして、私には、舞台上にいたのはずっと“演者”でした。決して役者だけのことではなく、作品全体でこの舞台上の存在が決まります。縁故者の反応ではなく、一般観客の目線でもう一度、自分たちの作品を見直してみると足らないものが見えてくるかもしれませんね。

11月21日 弦巻楽団 お代2,800円>料金2,500円
脚本、演出、役者、舞台美術など総合的な視点からなかなかおもしろいお芝居でした。
20年のときをこのような描き方で考えさせるのはよく練られた作品だと思います。ありふれた展開で、20年前の自分自身が出てこないのが良かった。
また、椅子の座面の釘の反射で宇宙空間を表現するシーンは、異空間に引き込まれました。舞台美術と演出の妙ですね。
全体を通して、弦巻楽団の実力を初めて垣間見た作品でした。

11月23日 劇団アトリエ お代1,800円<料金2,000円
独特の感性を持ったお芝居でした。「愛と宗教」という答えのないひとり一人の心、観念について芝居を通して観客に投げかけることができていたと思います。但し、作品としての感動や感嘆はありませんでした。ただ投げかけるだけではなく、その壁を越えたとき、劇団としてもう一回り確かなものになるのかもと思います。
舞台上の動きからよく稽古された作品だと思いました。

11月27日 intro お代2,000円<料金2,800円
intro=イトウワカナ=演出の妙 というブランド=先入観がある観客も多いのではないでしょうか?少なくとも私にはその期待感が自然にありました。そして今回の作品を通して感じたことは、「納得してるか?」でした。映像や音楽の使い方に時折、心を動かされたときもありましたが、お芝居全体として迷走感がありました。「薄暮」だからそうなのかとも思うこともないのですが、心に痞えの残るお芝居でした。

11月28日 劇団32口径 お代1,800円<料金2,500円
私は、様々なNPO活動にも参加しているし、しっぽの会さんの活動も素晴らしい活動で、この作品の趣旨には大賛同です。でもこの作品には、感情として湧き起るものがありませんでした。その理由を考えてみると、登場人物である犬が話し過ぎたからか?犬が語る言葉も結局は人間が語る言葉に過ぎない。人間が動物を飼うとは?・・・そんなことを考えていました。
もし犬役は一切、言葉を話さない。演技だけで表現する。犬を粗末に扱う人間(社会)の問題(状況、感情、言い訳)に焦点を当て、犬が語った言葉を観客が想像するお芝居だったら、きっと私の涙腺は緩んだままで、より心に残るお芝居になったと思います。

11月29日 劇団赤い風 お代1,800円<料金2,500円
地域の大切なものを守り続けようとする劇団の姿勢を強く感じました。一方で、時代が進み、生活環境や価値観が変化する中で、この作品の価値を伝え続ける難しさを感じました。音楽がとても素晴らしかったです。

FAP’S企画、劇団coyote、TUC+KYOKUの三作品は、出張のため残念ながら観ることができませんでした。三劇団のみなさんにお詫び申し上げます。

最後になりますが、今年は、昨年より全体的にお客さまの数が増えていたように感じました。とても喜ばしいことです。各劇団がそれぞれの個性、実力を磨き、多様な作品が観られるまちになることで、より多くのお客さまが劇場に足を運びお代を出してもらえるようになると思います。札幌の演劇界の応援団の一人として、私もできることで寄与していきたいと思います。「演劇で飯が食える」まちに!

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TGR 審査員の講評 【1】/ドゥヴィーニュ仁央さん

TGRの各賞が発表されてはや一週間。
札幌の街はすっかり雪化粧。

さて皆様お待ちかね!
今年も7人の審査員の皆さんから講評をいただきました。

まずは審査委員長を務めていただいたドゥヴィーニュ仁央さんから。
ドゥヴィーニュさんは今回をもって審査員を卒業。
3年間の審査員、おつかれさまでした!!
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(以下、いただいた原稿です)
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劇団の皆様、関係者の皆様、一カ月間にわたりお疲れ様でした。
3年間審査に携わりましたが、大賞候補作品を選ぶとき、私は大まかに次の3つの間でいつも迷いました。

①自分が素直に良いと思う作品。
②意欲的な試みを応援したい作品。
③過去作からの成長ぶりを評価したい作品。

2年目3年目と続くと、特に若手劇団の場合は前作からの成長具合もよくわかります。また、似たような作品が並ぶ中で、挑戦を感じさせる作品はその心意気を買いたい。②と③を評価して、今後の創作の糧にしてほしいという思いがありました。
でも、札幌劇場祭の賞の性質について昨年ある程度自分の中で結論が出ていたので、今年は①オンリーで潔く挑みました。7人も審査員がいるのだから、その一人として自分の価値観を押し出していかないと、受賞作が「演劇に対して求めるものが異なる人が見たとしても、満足度の高い作品」にならないのでは、と思ったからです。だからこそ、審査員には「演劇に対して求めるものが異なる人」を揃えることが大事だと思いましたし、作品の質の高さは個人の好みを越えていくものだということも、今年実感しました。

さて。
「演劇に対して求めるものが異なる人」が集まる状況では、当たり前ですが、一つの作品に対する評価がまるきり異なる場合もあり、全員一致で「これは文句の付けどころがない!」なんてことはそうそう起こりません。
今年話し合いをしていて面白かったことは、自分がいいと思う作品やシーンが他の人にまるきり響いていないことを目の当たりにして、自分の価値観が揺らいだときでした。正確に言うと、自分の価値観が一度揺らいで、結局はまた元に戻る、その過程が面白かった。
「価値」なんて、どのコミュニティに属しているかで変わってくるものなので、どんどん揺らいだ方がいいんじゃないかなと思います。揺らいだ上で、「でも、自分はこれに価値があると思う」と再認識することが大事なのだと思います。つくり手に「自分の作品を一度疑ってみること」を説く以上、審査する側だって「自分のものさし(価値観)を一度疑ってみること」が大切なのではないでしょうか。

と、ここまで書いてあえて言いますが、一観客として見るなら、「自分のものさし(価値観)を疑ってみること」なんて面倒くさくてやりたくないです。同じ意見の人たちと盛り上がっていた方が、異なる意見に耳を傾けるより圧倒的に楽しいですもの。
集団で何かを選んで評価するというのは、その心理の真逆の作業が伴う、しんどい作業だなあと思いました。でも、賞審査に対するそういった姿勢が伝わって、道外から交通費や宿泊費をかけてまでエントリーしてみようと思う劇団が増えていくのは嬉しいことですね。多様な作品を見ることができる環境に近づいていくのは大歓迎です。
ということで、次回も海外・道外勢を交えたエントリー作品が出揃うことを祈りつつ。私はオーディエンス賞でシンプルに楽しみます。あー、3年間お疲れ様!自分!そして皆様、3年間どうもありがとうございました。

※自分が見た作品に関しては、全てウェブサイト「WG」( http://www.freepaper-wg.com/ )で紹介しているので、お時間のあるときに見てみてください。
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以上です。

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TGR札幌劇場祭、大賞決まる!!

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TGR札幌劇場祭を締めくくる毎年恒例の公開審査会が昨日12月2日(火)、
cube gardenで開催され、TGR札幌劇場祭2014大賞に
韓国のプロジェクト・アイランド「アイランドー監獄島」が選ばれました。
海外の団体が大賞を受賞するのははじめてです!

今年、TGR札幌劇場祭大賞にエントリーしたのは
地元札幌はもちろん海外や道外から参加した全27団体。

プロジェクト・アイランドの「アイランドー監獄島」は
南アフリカ共和国の劇作家A・フガードによって書かれた作品で、
ケープタウン沖合いのロベン島の古い刑務所が舞台の2人芝居。
マンデラ元大統領をはじめ政治犯の強制収容所として使われたこの収容所で
コンサートを準備することになった受刑者ジョンとウィストンの物語に、
韓国の30代の若手女性演出家が挑み、審査員から高い評価を獲得しました。

公開審査会では
大賞ほか特別賞や新人賞などが選出されました。

受賞団体と作品は以下の通りです。
受賞した皆さん、おめでとうございました!

●TGR札幌劇場祭2014大賞
プロジェクト・アイランド「アイランドー監獄島」

●特別賞(作品賞)
時間堂「衝突と分裂、あるいは融合」

●特別賞(演出賞)
劇団千年王國 千年王國プロデュース「TOP GIRLS」

●新人賞
RED KING GRAB「おだぶつ」

●審査員奨励賞
さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座「座・競演vol.5」

このほかTGR期間中、観客の投票によって決まるオーディエンス賞は
以下の2団体に決まりました。

●TGRの首位打者
札幌放送芸術専門学校タレント総合科2年「BORDER~時をこえたmessage~」

●TGRのホームラン王
弦巻楽団「ナイトスイミング」

注)お客様に投票いただいた星の数(5点満点)で
星の総合計が最も多かった団体を「TGRのホームラン王」、
最も高いアベレージ(星の総数÷用紙回収枚数)を
残した団体を「TGRの首位打者」としています。

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明日はいよいよ公開審査会!大賞が決まる!!

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11月1日にはじまったTGR札幌劇場祭。
明日はそのクライマックスとなる公開審査会が行われ
2014年の大賞が決まります。
(写真は昨年の公開審査会の様子)

どきどきですねー。
どうなるんでしょうねー。
大賞は、あの作品でしょうか、、、
それともあの作品でしょうか、、、

「TGR札幌劇場祭」公開審査会&授賞式は
明日12月2日(火)18:00開場 18:30開演
会場/cubegarden(キューブガーデン)札幌市中央区北2東3

入場無料。どなたでもご入場いただけます!

U-streamでも生中継します!!
(チャンネル名:cubegardenLIVE)
会場に来られない方はぜひご覧になってください。

 

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