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TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:森彩夏さん

TGR札幌劇場祭2011大賞・審査員講評のラストは、
北海道教育大学岩見沢校の芸術文化コース4年生で
アートマネージメントを学ぶ森彩夏さんです!

大変遅くなってしまいましたが
これで全審査員の講評をご紹介できました!
審査員の皆さん、参加したカンパニーの皆さん、
そして劇場に足を運んでくれた皆さん、
ありがとうございました。
それではまた次回のTGRでお会いしましょう。

(以下、森さんからいただいた原稿です)

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札幌劇場祭 TGR2011 全体講評

昨年度、私は市民記者としてさっぽろアートステージに参加し、多くの作品を拝見しました。それでも、中々観に行く機会のなかったジャンルがあります。
人形劇です。今回初めてTGRの審査員となり、エントリーされている人形劇の数々を鑑賞したのですが、「何故今まで観てこなかったのだろう!」と衝撃を受けるくらい「わくわく感」が詰まっておりました。

お芝居を観る楽しみって、こういう事だと思うのです。自分の中で、新しい出会いを見つける場。
こぐま座ややまびこ座では、子供たちのキラキラとした目が印象的で、「非日常に出会うことが出来る空間」という『劇場』が持つパワーを感じました。
札幌劇場祭の楽しいところは、約一ヶ月の間に様々なお芝居を自分で選びながら観れる部分にあるとは思いますが、ここであえて「普段観ないもの」に挑戦することを提案したいと思いました。
特に、今回演劇を作る側に立っていた、参加カンパニーの皆様に。
公演期間が重なり、なかなか他のカンパニーさんの作品を鑑賞する事は難しいとは思いますが、自分が予期する事なかった出会いを発見し、吸収する。きっと素敵な体験になるはずです。

もちろん、人形劇の他にも、今まで何度も鑑賞してきましたカンパニーさんのお芝居は、普段の公演よりもますます力の入った作品を魅せてくださいました。TGRという「特別な期間」が、創作意欲も鑑賞意欲も高めてくれているような気がします。

今回は「市民記者」ではなく「審査員」という、ただ鑑賞する立場ではない使命を受けて参加した訳ですが…当初の私の鑑賞ポイント「観てる間に自分と重ねあわせ、何かを得、しかしいつの間にか作品の中に引き戻されている感覚」を味わうべく挑みました。それはもう、気合を入れて。

せっかくの特別な期間なのだから、細部まで味わいたく思います。
パンフレットは、ゲームで言うところの攻略本のような、もしくはCDの歌詞カードのようなものだと思っています。お芝居が始まる前に一読し、情報を頭の中に入れ、「これはどんなお話になるのだろう」と胸を膨らませます。今回のTGR参加作品は、フライヤーの段階で多く情報が載っていたもの・パンフレットにストーリーのあらすじが記載されているもの・フライヤーもパンフレットもごくごくシンプルに作られているもの、様々でした。
その頭の中にインプットした情報は、お芝居を観る際、スタートの印象を大きく左右します。こんなお話なんだろうなぁと考えていたら違ったり、観劇しながらストーリーを追っているうちに「パンフレットに書いてあったあの言葉、こういうことか!」と発見があったり。
どのようにお芝居を見せていきたいか、カンパニー毎に方針も色々あるかとは思います。私個人の好みで言えば、情報を頭の中に入れてから作品本体を鑑賞するほうが楽しめました。

お芝居というものは、どの劇場で上演するか、そしてどの席どの位置から舞台を観るかでもだいぶ印象が変わってしまいます。劇場に入り、全体的なセットを見渡し、流れているBGMに耳を傾ける。
お芝居はそこから始まっていると思うのです。一体どのような意図でこの曲を選んだのか。何故無音なのか。深読みする楽しみも授けてくれるBGMにもこだわって頂きたいな、と思いました。

各カンパニーの方々の思いの強さは、そのまま各作品から伝わるメッセージの強さに変換されるのだな、と切に感じたのも、今回のTGRの特徴だと思います。「来て頂いたお客様が楽しんでいただければ」、という感覚だけでなく、その公演に向けてどれだけ練習を積んだのか、どんな意識を持って挑んでいるのかがひしひしと伝わってくる作品は、やはり観ていてとても楽しかったです。

これからも長くTGRと関わりたいと思っていますが、年数を重ねるごとに創り込みがアップしていく様子を見ていると、楽しみ・期待度もひとしおです!今回のTGRでは舞台芸術の持つエネルギーをがっつりと感じ取れたので、今後はそれらをも越える熱い作品に触れることができるのをウキウキしながら待ちたいと思います。
また11月、さらに磨きかかったお芝居を魅せてくださいね!!

TGR2011に関わった全ての皆様、お疲れ様でした!

森 彩夏

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:北田静美さん

TGR札幌劇場祭2011大賞・審査員講評の第6弾は、
今年から審査員をつとめていただいた㈱ウエスの
プロデューサー・北田静美さんです。
お忙しい中、審査員をつとめていただき
ありがとうございました!

(以下、いただいた原稿です)

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TGR札幌劇場祭2011に参加された劇団の皆様及び関係者の皆様、大変お疲れ様でした。
審査員というかたちで、今年からTGRに参加させていただき
エントリー作品(全32作品)全てを観劇いたしました。
今まで足を運ぶことができなかった、たくさんの劇団の作品を集中して観劇できる機会は
このTGR札幌劇場祭をおいて他にはないと思います。
期間中は、エントリー作品のひとつひとつから、作り手の皆様の熱意を感じとることができ、
とても嬉しく楽しい気持になしました。
非常に簡単ではございますが、感想を綴らせていただきたいと思います。
(個人的な感想も含まれておりますので、優しい気持で読んで頂ければ幸いです。)

《エントリー作品につきまして》
エントリー作品(全32作品)の中には人形劇やオペラ等も含まれ、幅広く色々な舞台を観劇する事ができました。
☆人形劇や児童劇のレベルの高さに驚きました。子供だけではなく、大人も十分楽しめる作品となっていると思います。
 大道具・小道具や演出等の創意工夫もさることながら、あのアットホームは感じを多くの皆様に体感してもらいたいと思いました。
 素晴らしい作品が多いのですが、人形劇や児童劇は、公演の情報をなかなかキャッチする事ができないのが残念です。
 公演告知の方法等を検討することで、もっとたくさんのお客様に観劇していただけると思いました。
☆オペラ(歌劇)は、普段はなかなか観劇することがありませんでしたし、難しいのではという先入観もありましたが、
 エントリーの2作品ともに、親しみやすくカジュアルにオペラを楽しむ事ができました。
 ただオペラは、役柄の感情表現を歌唱で進められることが特徴のため、審査の対象としては非常に難しいということを感じました。
☆公開審査会では、演劇集団遊罠坊〜AsoBinBou・弦巻楽団・AND・北海道二期会・東京タンバリンの皆様の
 講評をさせていただきましたが、他のエントリー作品も非常に興味深く、特に大賞を受賞された千年王國の
 『狼王ロボ』はエンターテイメント性の非常に高い作品に仕上がっていると感じました。
 他にも、弘前劇場や劇団TPS/yhs/座・れら等々、クオリティの高い作品もたくさんあり、全て深く印象に残っています。
☆エントリー作品(全32作品)の作品全てにそれぞれ寸評を書かせていただきましたが、非常に長くなってしまいますので
 機会がありましたら、別の形で発表させていただきたいと思います。

《TGR札幌劇場祭2011通して感じた事》
今回審査員として参加させていただき一番に感じたことは、たくさんの表現者の皆さんが色々な場所で活躍されていること、
そして自分好みの表現者を見つける作業がとても楽しいということでした。
自分なりに、この劇団のココが好き!とか、全く好みじゃない!とか、別の作品も見て観たい等々の感想を
まとめ、後で読み返してみると、舞台を二度楽しんだような気持にもなりました。

舞台の好みは十人十色です。映画や音楽と少し違い、舞台は事前に予告編を観る事もCDを聞く等の予習もなかなかできません。
だからという訳ではないと思いますが、なかなか舞台を見に行こう!と思うまでには時間がかかると思います。
加えて、初めて観劇した舞台を楽しいと感じられなければ、他の作品を見てみようというよりも、
再び劇場には足を運ばなくなってしまう傾向が強いのではないかと思います。
告知物としてもちろんチラシはありますが、チラシだけではイメージしか膨らまないのが現実です。
作品の内容より、「有名な俳優さんが出演しているから」「友人が出演しているから」というきっかけで、
劇場に足を運ぶ方がほとんどではないでしょうか?
おつき合い的な来場ではなく、ドキドキワクワク感や自分の心の奥の気持に出会える時間として、
来場していただければ、こんなに嬉しい事はないと思います。(作る側ではないに生意気言ってスミマセン。。。)
どんなきっかけであれ、舞台でしか味わえない臨場感や緊張感や感動を多くの皆様に感じていいただく為には、
やはり時代にフィットした告知方法やプロモーションを展開すべきと考えます。

最後に、プロフィールにも書きましたが、これからも微力ではございますが、
ひとりでも多く方が舞台をひとつの娯楽として、気軽に劇場に足を運んでいただける
環境作りのお手伝いができればと思っております。
そして来年も、LOVE&PEACEで熱のこもったたくさんの作品に出会えることを期待しております。

皆様、本当にお疲れ様でした!感動をありがとうございました。

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:桑田信治さん

TGR札幌劇場祭2011大賞・講評第5弾は、
シゴト情報誌「anウィークリー」北海道版編集者の
桑田信治さんです。
桑田さんは公開審査会での持ち時間では話し足りず、
「続きはWEBで」とおっしゃっていましたが
その言葉どおりの力作が届いています。
演劇や劇団に対する愛情がたっぷりの講評、
ぜひお楽しみください。

(以下、いただいた原稿です)
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はじめに。
 公開審査会で「続きはWEBで」と言ってしまった手前、異常な長さになりました(笑。ので、前置きは短めにしますが、去年にも増して盛況のTGRだったと思います。
 僕の基本的スタンスは昨年と変わりませんが、2年目の今年はよりリラックスして観させて頂きました。今年はあっという間の1ヶ月でした。すべてのTGR参加団体、関係者の皆さん、おつかれさまでした。審査スケジュールの関係で、エントリー外ではザ・ビエル座の公演しか拝見できませんでしたが、各々のスタンスに関わらず、参加作品ひとつひとつがTGRを担っているのだと思います。本当にありがとうございます。大賞を受賞した劇団千年王國をはじめ、各賞受賞団体・関係者の皆さん、心からおめでとうございます。すべての会場の客席のみなさん、ありがとうございます。来年もまた、それぞれのスタンスで一緒にTGRを盛り上げていけるといいですね。
  *  *  *
 前置きはこれくらいにして、各作品の寸評に移りたいと思います。相変わらず素人のつぶやきですが、昨年の個人的「感想」よりは、読み手にとって意味のあるものを書こうと心掛けたつもりです。作品によって文章の長さが一定していませんがその辺はご了承を。褒めていないから僕の中で評価が低いということも一概には言えません。何せ変わり者なので。
 3.11はすべての表現者にとって避けては通れないできごとであり、多くの作品に色々な形で投影されていたと思いますが、僕の想像の範囲だけで言及すると画一的な寸評となってしまうと思いましたので、文中ではあまり触れてはおりません。ご理解ねがいます。
(文責はすべて僕自身のみにあります。また、今年も残念ながら開演日時の重複等で、東京タンバリン、札幌オペラスタジオの2作品については拝見することができませんでした点、ご容赦ください。)

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■リリカル・バレット『リピート』

 設定が随分と使い古されたものであり、パンフにあるI・アシモフの「ロボット三原則」などは、僕のような古いSF者にとってはいまさら感が強いのですが、いざ始まってみるとオープニングだけでなぜか既に泣けるんですよね(笑。『TGR2011の泣けた作品マイベスト1』でした。いつもながらのスピード感やわかりやすいドラマチックさ、若年層にアピールする要素(今回でいえばボカロや女性型アンドロイドといった2次元的要素)を押し立てて動員を担保しながら、自身が伝えたいものを書く、といった方法論が確立されていると感じました。
 光と影の2体のアンドロイドを演じた岩杉さんと原田さんは今回がベストアクト。岩杉さんの主役らしい明るさと原田さんの新しい魅力を引き出した、谷口さんのキャスティング、脇を固めた明逸人さん・立川さんに拍手。ただし国家的なプロジェクトの重責を担う神崎(谷口)が私情を優先することの客観的正当性が弱い点は、対立する櫛灘(明逸人)のバックボーンを描くことでもうちょっとカバーしてほしかった気がします。芸達者な逸人さんになら、もう少し突っ込んで語らせても大丈夫だったかなと。
 何度初期化されても失われないアンドロイドの記憶や、「教授が死んだら私を壊してください」と言うエンジュ(岩杉)の想いは、後述するぐるーぷえるむの森の『あらしのよるに』と非常に近いものだなあと思いました。キカイに記憶(記録)が残っているなんて物理的にはあり得ないんですが、「想いは届くんだ」ということを信じたくなる…谷口さん同様、僕もロマンチストなんでしょうかね(笑。
 過去に多用していた映像効果や、鳴り止まない音楽、といった谷口作品の要素が最近減っているのは、自信と経験のあらわれなのでしょうか。谷口さん自身は「いつになく」しっとりとした作品とおっしゃっていましたが、僕は今まで培ってきた必然的な流れの中で結晶した作品だったと思います。僕の観た谷口作品の中ではベストワン。賞候補として推したい作品のひとつでした。
 また今回はワークショップ発表公演を兼ねた作品ということですが、若手育成のためのワークショップと、それに紐づいた新たな若年層観客の取り込みを目指している継続的な谷口さんの取り組みは、札幌演劇界にあって非常に有意義なことだと思います。

■ぐるーぷえるむの森『あらしのよるに』

 昨年は主役の方のご病気等もありプラン通りの作品が上演できなかったこと、更に、今回は2011年春の再演を経てTGRに臨んだということで、とてもブラッシュアップされた作品を見せて頂きました。
 まず最初に書きたいのは…変な話ですが、今年と比較しても昨年の初演が決して大きく見劣りする作品ではなかったということです。今回、尺を短くした分カットされたり、差し替えられた場面や演出の違いなどもあり、好みによっては「昨年の方が良かった」と思う方もいるかも知れません。それほどに昨年の初演もすばらしく、まさに「サプライズ賞」に値するものだったと思います。
 今回観て思うのは、やはり、この二匹の姿が時に「ロミオとジュリエット」のように見えるということです。「緑の森は必ずあるし、あの山だって絶対に越えられる」というセリフにはやはり胸が熱くなるのですが、今回は「私たちはあんな狭い所で食べたり、食べられたりしていたんだね」というセリフが(僕の思い違いでなければ)カットされていました。このセリフは愚かな諍(いさか)いを戒める比喩でもあるわけですが、『あらしのよるに』という作品と真剣に向き合っていくとぶつかってしまう疑問でもあると思うんです。――それは、「狼がヤギを食べることは自然の摂理であり、悪ではない」ということです。
 ヤギのメイの聡明さや純粋さ(内面の強さや脆さも含め、とてもよく表現されていました)はともかく、狼のガブが自然の摂理を捨て、仲間を裏切りメイとともに生きるというのはある意味不自然であり、たった2匹だけで楽園についても(劇中でも描写がありましたが)狼は動物を殺して食べなければ生きていけないし、子孫も残せず寿命を終えることになります。そんな不自然で不安定な「できそこないの幸せ」がはたしてハッピーエンドなのか?――頭の隅で僕はそんな疑問を抱きながら観ていたのですが、それに対し「たとえ死んでしまったとしても、命をかけて一緒にいたいと思った相手と過ごした時間は、消えてなくなるものではない」という力強いメッセージがきちんと用意されていたことが、非常に素晴らしかったと思います。
 今作は、個人的には『TGR2011の泣けた作品マイベスト3』に入っています。(言葉のあやじゃなくて、僕、本当に泣くんです 笑)。それではなぜ賞に名前が上がらなかったのかと尋ねられれば、今年のTGRはそれほどにレベルの高い争いだった、ということでしょうか。でも、今年はもう “サプライズ”ではなく、“えるむの森”のお芝居の質の高さを証明したと思います。主演のお二人の演技の素晴らしさは勿論のこと、脇を固める主要登場人物(動物?)たちにも、より、こだわりを感じましたし、それでいて、誰もが参加できる敷居の低さも保っているということが、やはり素晴らしい事だなあと改めて思いました。

■人形劇団ブランコ 腹話術『あっちゃんとあそぼう』/人形劇『このつぎなあに』

 ライブで見る腹話術は楽しいですね。コンビ漫才なのだと改めて思いました。特に、人形のボケ方のバリエーションに感心して何度か本気で笑いました。30分という長丁場、内容はマナーや防犯といった、言ってしまえば多くの子供たちには耳タコの話のはずなんですが、腹話術だと子供はここまで食いついてくるんですね。かくいう自分も、途中からいつのまにか自然に「あっちゃん」と「おじさん」を別人格として楽しんでいました。
 『このつぎなあに』も丁寧に作られた人形劇でしたが、あえて僕が思ったことを付け加えさせて頂くと、終盤、おじいさんが息子と再会するシーンは短めにして、おじいさんが息子と町に引っ越してしまう所まで見せないまま、空っぽの家と知らずに訪ねてきた狸と一緒に子供たちにも「おじいさんはどうしたの?」と思わせる。――エンディングをそんな「狸の視点」にすると、置手紙の内容とおにぎりももっと効いてくるし、より狸の気持ちに感情移入できるかなと。そんな見せ方もアリかなと思いました。

■おかめの三角フラスコ『ボーイズ―男の子―』

 主役の「マチコさん」が、何人かの男性と付き合ったり別れたりするわけですが、ほぼ出ずっぱりで描かれている彼女、とりたてて奔放なわけでもなく、むしろ好感が持てるくらいの思慮深い女の子だし、パンフに書かれているような「純な男の子が女の子に翻弄されてしまうストーリー」という感じが全然しないんですね。さらに、男の子達についての描写があくまでも「女の子から見た男の子」に留まった感じがして、これではタイトルは「ボーイズ」というよりは「マチコさん」じゃないかなと。また、エンディングのひと幕は、それまでに描かれた彼女の性格描写にもそぐわない類型的なもので、まったくの蛇足でした。
 劇団ネタをマチコさんのパトロンにひっかけたのは上手いと思います。そこをもっと広げて欲しかった。
 最大の難点は、シーンごとに暗転して時間を食っていたこと。そのたびに鳴る暗幕の吊り輪金具の音も耳につきましたし、そもそも暗転してまで舞台装置が必要なのかな?と首を傾げる場面も何度かありました(例えば、彼が部屋から電話してくる際のソファとか)。作者のこだわりなのかもしれませんが、観る側としては「ああまた暗転か」という、細切れの芝居に思えてしまい興醒めでした。ハコにあわせた舞台装置を考えることや、暗転秒数・回数も芝居のうちだと思います。演出面での再考を。

■Intro『蒸発』

 冒頭、雨もりの音で始まるのですが、当初はそこここの水受けにスピーカーが仕込んであるのだと思っていました。なんて立体的なSEなのかと驚いていたのですがホンモノの水滴だったとは。デジタル病だなあと反省。
 この作品については書けば書くほど自分を確認していくだけで、的外れになっていくとは思うのですが…僕が最初からから感じたのは、拭う事の出来ない嫌悪感や自分だけ空回りしているような徒労感、自分が正常なはずなのに異分子であるがゆえに自分だけが異常であるかのような居心地の悪さ、そしてその異常な日常に染まっていきそうな不安――ああそうなのかと。「なぜ、なかった事にできるのか?」「なぜ(比喩としての)雨漏りを直さないでいられるのか」といった、もっと限定して言うと「家族でさえなければここに関わらなければならない理由は何もないのに」という、叫びだしたくなるような想いとでもいうのでしょうか。現実には叫んでも何も変えられず、無力な自分を確認するだけなので、こうしてお芝居にしてみました、というような。そして唯一そこから抜け出す手段が「蒸発」なのだろうかと。(ここまで限定すると的外れになるだろうことは承知の上です)
 そこには解決や結末を僕は見つけられないのですが、今振り返れば、まさにTwitterにしか見えない去年の『悪い子』よりは俄然共感できるものでした。役者の特異な動きにはセリフ以上の重みを僕は感じませんでしたが、次第に湿度に侵されていく白い空間も含め、イメージを現出する感性の豊かさには感心しました。

■yhs『忘れたいのに思い出せない』

 南参さんの手際と、それに高いレベルで応える役者陣には感心します。気になったのは、パンフに書かれていた人物関係。祖母(センリ)-センリの息子(ガンマ)-ガンマの娘(トオル)という家族の中で、トオルを、ガンマの前妻の連れ子に設定した必然性が作品内ではよくわかりませんでした。
 トオルは、未婚での妊娠や元カレの出現など、身重ということもあって登場人物の中ではいちばん精神的に揺れ動く要素が多いはず。祖母を慕う姿が描かれていますが、それでも現実には、いざとなるともっともっと「自分」が最優先事項になってしまうのでは?その辺をもうすこし見たかった気がします。ガンマは、母親が疎ましいという以前に、悲しいのですね。そんな立ち位置を小林エレキさんがほど良いバランスで演じていたと見てしまうのは僕がガンマの年齢に近いからでしょうか。
 「リアルさに欠ける」という(認知症の)現場からの声もありそうですが、ドキュメンタリーではなく演劇として再構築したのだから、僕は全体的には納得できたしエンディングのさじ加減も良かったと思います。玉砂利も「演劇的再構築」の象徴なのでしょう。センリの心象風景を表すことで生活感のない静謐な舞台装置を組んだのには見ていて救われました。(時折役者が砂利に足をとられていたのが気になりましたが、もしかしたらそれさえ演出意図だったのかも知れません。)
 プラス・マイナス両方の意味で、南参さんの想い入れが色濃い作品だったというのが正直な感想です。例えば、実話だという独特なしゃべり方で後半を通したのは聞き取りにくくて僕的にはマイナスでした。というか、最後の方は、セリフを発しなくても、福地さんの演技ならセンリの気持ちを伝える方法は他にもあったのではないかと思いました。

■座・れら『トランス』

 戯曲としてはその内容に多少時代の古さを感じてしまう部分もあるのですが、非常に稽古を積んだのだろうと思わせる「トランス」だったと思います。(ハコの大きさを意識して声を張っていたとは思うのですが)細かい抑揚には多少欠けていたような気がしますが、声もよく通っていました。特に終盤は、3人の立ち位置がめまぐるしく変わるのですが、きちんと咀嚼して演じているという事がセリフひとつひとつを通して伝わって来ました。3人それぞれに良かったですが、おおっと思ったのは天皇を演じた信山さんでした。
 ただ…こんな事を言うのはおかしいのですが、主役交代ゲームのような終盤では危うさ・もろさを孕んだ緊迫感を感じたいところなのですが、セリフが咀嚼されすぎているというか…うまいのが難点、とは言えないですもんねえ(笑。
 若手のみによる3人芝居なので、登場する役者陣に限って言えば新人賞にエントリーしてもおかしくないかも知れません。ただし、鴻上脚本ということで、仮に新人賞候補として審査した場合には、正直僕は非常に困っただろうなあと思います。

■遊罠坊『羽化~ウカ~』

 意欲的な男芝居だったと思います。舞台装置や導入部のテンポもよく、雰囲気もあり、すっと物語世界に入っていけました。
 話の軸となる「ユウカ」という女性を一切登場させないところに、こだわりを感じました。――ただこの点は「登場させた方が良かった」という見方もあると思うので、作者のこだわりを否定の余地のない所まで高めることも課題かと思います。また、時折セリフ内の用語や名詞の選択が甘い(誤用とまでは言いませんが)印象を受けました。(←上演台本が手元にあるわけではなく、具体的な指摘もなく細かい事を言って申し訳ないですが。)
 個性がそれぞれ違う3人の演技にも光るものがありましたが、誰かが出たときは誰かが下がる、というような登場人物のテンションの押し引きが少し乏しかったかも知れません。その結果、ある意味高いテンションのまま単調になっていた感があります。もう少し尺が長かったらつらいところでした。
 今回が旗揚げ3作目。過去2作も拝見していたので付け加えさせて頂くなら、3作品の中では今作が総合的にはベストだったと思います。ただし、「羽化」というのは、今回のタイトルというより、「人の心の奥底に潜むもの」を描き続ける座付作家のテーマのように感じます。今回の作品を繭や羽化に結びつけたのは多少思い入れが強すぎた感もありました。しかし、ともすればホームドラマベースの題材が多い今の学生劇団の中にあって、印象に残る作品でした。
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 ちょっと話がそれますが、今年の新人賞選考は激戦で、決選投票のすえ1票差で決着がついたので決選に進んだ2団体がクローズアップされている印象がありますが、それ以前にその2団体の過半数獲得を阻んだのが、後述する劇団ラフスパイスと遊罠坊でした。まだ来年もそれぞれにチャンスがありますので、他の団体も含め、更に研鑽を積んでのチャレンジに期待します。

■弦巻楽団『テンプテイション』

 (初期構想から内容変更があったということですが)観劇前に僕がミステリータッチの作品?とミスリードされてしまったのは、事前情報のせいというより「予断を排して臨む」というスタンスを崩してしまった自分のせいだと反省しています。ただ、作品的にも、それぞれの抱えている「嘘」を全部明かしていくわけではないのに、序盤で伏線(もしくは伏線のように見えるエピソード)を配置しすぎだったかも。本筋がある種「ささやかなお話」なので、本筋の物語にもっと集中させてほしかったかなと思います。
 静かなエンディングとの対比もあるのでしょうが、弦巻さん本人を含め、芸達者なはずの中堅役者たちが全体的にちょっとはしゃぎ過ぎだったかなと。(旧友再会ってこんなテンションでしょ?って言われればそうかも知れませんが。)実年齢差のある役者が同級生に見えるかどうかという点に囚われたのでしょうか。役者の力からいうと気にならない範囲だったし、そもそもそれが“芝居の嘘”じゃないかと思うのですが。また、ヨミガタリスト・松本直人さん(校長先生)の声が他の役者(生徒たち)とは一線を画していたので、余計に生徒の実年齢差など僕は気にならなかったのですが。
 静かなエンディングを噛みしめながらも、作者の想いがいまひとつ落ちてこないまま観終わってしまったのですが、次第に、「静かに詠まれたレクイエム」とでも言った考えが浮かんできました。大上段に構えて語るのではなく、人々の会話から浮かびあがる想いによって癒されていくような伝え方は弦巻さんらしいと思いましたが、クライマックスのあと、あっけなくエンディングに跳んでしまったのはちょっと肩すかしを食らったようで……。脚本家の頭の中で色々削ぎ落とした結果なのかも知れませんが、そんな、名人が和歌を詠むような削ぎ落とし方をするのには、失礼な言い方かもしれませんがまだ時期尚早だったかもしれないなと。――作りこんで見せてこその弦巻さんじゃないかなと勝手ながら思いました。
 他の審査委員も言及されることと思いますが、墨絵で描かれた巨木の、特別賞ものの素晴らしさにも触れておきます。下手の渡り廊下が橋懸に見え、まるで能舞台のようでした。序盤、巨木の傍らに一瞬役者が立つシーンもありましたが、紗幕の向こう側で主要人物たちがその木を見上げながらセリフを言う場面があっても違和感がなかったかも知れません。今までも、そしてこれからもそこに在る巨木――作品が終わっても物語は続くということの象徴のようでした。実際、ZOOの入り口の階段を下りていくと、今でもあの木がそのままあそこにあるような気さえします。もしこれがこの「名画」ありきで、その絵をモチーフにコラボした演劇作品だったというのであれば、前述した点のほとんどは些細な事としてストレートに賛辞を贈るのですが。

■AND『ばらひまわり』

 タイトルの優しい響きから、個人的にとても期待していた作品です。――ただし劇団ANDの作品はいつも、前情報に比べて、本番でやや暴力的な方向に裏切られるのですが(笑)…今回は、想像していた通りの作品世界を見せてもらえたので正直驚きました。
 毎回、よくも悪くも「ザ・亀井ショー」だなあ(僕はそれが好きなのですが)と思って観ていたのですが、今回は、ナガムツさん、八戸さんを始め、他の役者さんたちにもいつも以上に目がいきました。なかでも、亀井さんとともに主役を演じたナガムツさんがとてもキュート。
 解散公演ということで、思い残す事がないよう全ての想いを伝えたい、受け取ってほしいという気持ちが亀井さんの中で働いたのでしょうか。今まで、時として暴力的だったりグロテスクだったりする部分(僕は亀井さんの一種の「照れ隠し」だと思っているのですが)はいつもより影を潜め、危うさや不安定さといった奇妙な魅力はそのままながら、よりストレートに「愛すること」「苦しみや悲しみを越えて、生きること」を歌い上げた作品でした。
 昨年は極端な賛否両論があり、また、だからこそ贈られた「サプライズ賞」でしたが、今年は多くの審査委員が賛辞を贈り「審査員奨励賞」となりました。――これは余談ですが、5名の審査委員が楽日の観劇で、会場が超満員だったため急ごしらえの舞台袖の席での鑑賞となり、書き割りの陰から役者の横顔しか見えないような角度で観ていたのですが、そんなことさえマイナス要因とならないような…むしろ、出待ち役者の真剣な表情が垣間見れたりと、生の迫力を増す結果となったようです。扇状に舞台を囲む観客の中で役者が演じるさまは、まるで野外劇場のようでもありました。
 劇団は解散となりましたが、この作品を経て、表現者としての亀井さんが今後何を見せてくれるのかを楽しみにしたいと思います。

■北海道二期会 オペラ『まほうのふえ』

 ファミリー向けということで、楽しい脚色も交えながらの作品でした。照明によって表情が変わる舞台美術も素晴らしかった(最初観たときは奥行きを錯覚したぐらいでした)。
 僕は『魔笛』を鑑賞したことがなく、どこが見所なのかという予備知識もなかったのですが、そんな僕でも夜の女王のアリア(復讐の女王編)に釘付けでした。が、ファミリー向けにしても、歌に関しては必ずしも全編日本語である必要はないかな、と思いました。
 これは僕の考えに過ぎないのですが…オペラは日本語で「歌劇」ですよね。でも誤解を恐れずに言えば「歌“劇”」という言い方はちょっと違うんじゃないかなと思うんです。あくまでも歌が主役で、CDに例えるなら、あるひとつの物語をテーマにした歌を集めたコンセプトアルバムのようなもので。だから「歌劇」というよりは「劇歌コンサート」とでも言った方がいいかなと。今作はダイジェスト版だったから余計にそうなのかも知れませんが、事前にあらすじを知って(読んで)いないと、時としてストーリーを追うことさえ難しいですよね。だから、周知の物語を、進行にあわせて「次は誰がどんな歌を歌ってくれるのだろう?」という楽しみ方をするものだと思うのです。そして、独特な歌唱法なので、女性の高音などは和訳であっても必ずしも歌詞が言葉としてきちんと伝わるわけではないと思うので、歌唱のすばらしさとは別に、意味は字幕で知ってもよいのではないかと(教文の字幕位置はちょっと問題がありますが)。
 話が脇にそれてしまいましたが。冒頭でのパパゲーノの挨拶や、客席で歌を披露するなど、そこここに楽しさを共有できる工夫があり、オペラを身近に感じることのできる素敵なプログラムでした。これを観たら、正式な『魔笛』も観たくなりますね。

■演劇ユニット イレブン★ナイン『プラセボ/アレルギー』

 犬のハナコが分かりにくかったという話はまあ置いておいて(笑。
 中堅以上の役者で進む序盤は僕的には文句のつけようもないのですが、途中からそこに若手が加わっても皆演技に隙がないなあという感じ。さらに納谷さんが4番でピッチャーでキャプテンでという力技で、さあ泣け、という(笑。実際、エンディングでは僕も周りにつられて泣いてしまいました。『TGR2011の泣けた作品マイベスト3』のひとつでした。
 (僕が一番ひかれたのは実はラスト近辺ではなく、納谷さんが妹役の今井さんに「お前の世話にはならないから出てけ」というシーン。ベタなセリフなんですが、あそこは役者がセリフを言っているという感覚が全くありませんでした。)
 ただし、それゆえに、不満も募ります。
 人間の嫌な面や誤解を見せて「大勢対ひとり」の構図にし、そのひとりが(彼にも嫌な面は充分にあるのに)一番イイ人になったそのタイミングを切り取ってそこで終わったら、それはずるいでしょと。ハッピーエンドを望んだわけではないのですが、力技で毎週進めておいて最終回を都合により中止した連ドラのようなつくりは腑に落ちないです。――落ちぶれようが一生誤解されようが彼はそのまま本当に生きていけるのか?その生き様をみせて(あるいは感じさせて)くれなきゃ納得いかないなと。
 個々の演技と全体のボリューム感だけで言えばある種の商業演劇しても十分成り立つという感じがし、好き嫌いは別にしても、チケ代があと1,000円高くても僕は損したとは思わないのですが。

■第5回さっぽろ学生演劇祭 チームFriends『フレンズ』

 女の子の躍動感が印象的でした。それに比して男の子がちょっと大人しかったような。衣裳やメガネ、似たような役名を避けるとか、グループ内の男の子にもう少し個性が欲しかったと思います。
 序盤は誰が主役なのかさっぱり分からず、散漫な印象を受けましたが、主軸がはっきりしてからはだいぶ見やすくなりました。素なのか演技なのか当て書きなのか、飛びぬけて上手いとわけではないのですが、主役のゆうな(佐藤香菜)に特に後半に向けて自然な魅力を感じました。
 卒業式の呼びかけを利用してマイちゃうあたりは多少強引ながらもうまいと思いました。(受験戦争のシーンは、昨年学園モノの高視聴率TVドラマでとても似た演出を見たので、偶然とは思いますが僕にとってはちょっとマイナスでした。)
 少年が「いつか銀河鉄道に乗るのが夢」と語るのが少し唐突な感じがしました。というか、高校生の夢としては現実性がなくちょっと稚拙な表現じゃないですかね。物語は高校→大学後と進むのですが、内容的には小学→中学→高校の方が納得できたような気がします。(OPの「BELIEVE」も、僕には小中学校の卒業ソングというイメージがあるので)
 開演前のアオリも含めて、これは賢治ではなくBUMPの銀河鉄道なのかな?とも思いましたが、病床の青年が看護師と入れ違いに車掌に連れ出される場面から、列車で二人で文庫本を朗読し始めるくだりの空気感はすごく良かったと思います。真面目な雰囲気の中で相手の頬を叩いて夢かどうかを確認するのも、主人公のキャラをうまく活かしたシーンでした。夢の中の世界でのおふざけ(ト●ロや、せら●ん)も楽しく、お遊びのバランスも良かったと思いますが、全体的に、良く言えば健康的、悪く言えば大学生の作劇としては幼すぎるのでは?と感じました。キライじゃないんですけどね。

■人形劇団ぽっけ&ばおばぶ&ボクラ『ジャックと豆の木』

 劇団千年王國と同じ最多票を集めて堂々大賞候補5作の中に選ばれた人形劇。舞台美術・人形美術がすばらしく、壮大なアドベンチャー劇でした。空に伸びる巨大な豆のつる、影絵のスクリーンや場転の目隠しになったり雲海になったりする布の使い方。(どんな大きな人形が出てくるかと思ったのですが)手足だけで表現された巨人。人形劇じゃなくても使えるクオリティですよね。ここまでの仕掛けを見せて頂けるとは思いませんでした。もちろん大勢のチームワークあってこそ実現できるのだと思います。合同上演の意義を強く感じました。スケールの違う人形とか、面の変わる女の人、胴体と頭が別々になる牛のコミカルなシーンなど、全編アイディアの宝庫でした。
 原作のジャックは割といきあたりばったりというか出たとこ勝負というか(笑)・・・道徳観も含め、このテの童話にはいろいろと突っ込みたくなる部分があるので、その辺を明快に、ジャックの側に正義があることをきちんと説明している脚本が、今回の人形劇には合っていたと思います。貧しくても明るいお母さんもすてきでした(ジャック「おなかすいたよう」、ハケながら母親「気のせい気のせい」が個人的にはツボ)。
 僕の「人形劇」観をある意味変えた素晴らしい作品なのですが、あえて意見を述べるとしたら、最後におじさん妖精のセリフでまとめる必要がないくらい、もっとくっきりとしたジャック少年の成長物語にしちゃってもよかったかなと思いました。母親に「すっかりお父さんに似てきたねえ」とか言わせて。

■第5回さっぽろ学生演劇祭 チームLetters『レターズ』

 下手にアトリエ、上手に食堂、中央手前にリビング。謎めいた子供達の集う施設に訪ねてくる一人の記者…冒頭はとても興味を引かれたのですが、子供達の特異な能力を説明するくだりをもっと整理して詰まったものにして欲しかったです。それだけで大半の時間を費やしてしまい、ストーリーが動き出してから終わるまでがあっけなさ過ぎでした。いくつもの素敵なメッセージの種があったのに、脚本がうまく結実させずに終わってしまった印象です。
 演出に関しても、役者の出ハケや、芝居をするポジションどりにもっと工夫が欲しかったと思います。食卓をシンメトリックな構図にしたのはいいのですが、上手奥に配された食堂のテーブルの奥の席で芝居をするのは、あの劇場では客席から遠すぎ(更に、テーブル中央に飾られた花瓶の丈が高すぎて、観客の目線の邪魔になっていました)。ラストに向かう直前、子供達全員がやたらカッコいい立ち方をする場面が1箇所あったのですが、それ以外はどうにもポジション取りにあまり注意を払っているという感じがありませんでした。また、客席に背を向けて言うセリフが聞こえづらく、それは役者の問題でもあるのですが、聞こえにくいくらいならこっちを向いてしゃべった方がいいとさえ思いました。
 ラストシーンの雰囲気はほほえましいモノで、そこまで来てやっとそれまでの冷めた雰囲気が演出なのだとわかりましたが、冷たいと言うより、芝居がこなれていないように見えていたのが残念です。

■劇団千年王國『狼王ロボ』

 劇場(ハコ)の使い方のたくみさ、音楽と舞台装置と照明だけで、すでに時代と場所に誘(いざな)われるような気がしました。「(大きな)木!」といって3人の役者が見上げただけで、そこには見事な大木が。3人が転々と役を変えて物語を進める序盤は、状況説明に飽きさせないテンポのあるつくり。また、本来ダンサーの2人だけでなく、役者2人も含めた狼チームの素晴らしさについては誰もが認めるところだと思います。実は僕、『狼王ロボ』は、『灰色熊の一生』と並んでシートン動物記の中ではいちばん好きな話なんです。なので、原作に沿って再現された人間側の視点、そして中盤以降シートンの一人称で物語が進むのと、狼が人語を話さないことにとても好感を持ちました。
 ですが、なぜ最後に劇中で「エゾオオカミの絶滅」について言及してしまったのでしょうか。
  *  *  *
 これは審査会でも話題にした部分ですが、他の審査委員の方の中には肯定派もおられ、
 ●「エゾオオカミの絶滅」について言及しないのなら、今北海道でこの芝居をやる意味がないのでは。
 ●言及するべきだが、もっと上手く演出できればなお良かった。
というようなご意見だったと思います。
 ご意見の趣旨は僕も分かりますし、お一方がおっしゃっていた【増えすぎたエゾシカ対策として、オオカミの復元、野生復帰を目指し、道内でオオカミの飼育・研究と啓発活動が行われていること】も知っています。この物語の舞台となったアメリカのイエローストーン国立公園でも、数十年前にオオカミを野生に放つ試みがなされ、本来の自然サイクルを取り戻しつつある、という話があるという事も後から勉強しました。
 しかしそれでも僕は、このお芝居のエンディングに、あの言及は要らなかったと思います。
 シートンが著した時代にこの物語に込められたメッセージ以上に、現代を生きる我々は多くのことを、北海道はもとより、全国規模、地球規模で考えなければいけないと思うし、この作品はそれを発信することのできるスケールを持っていると思います。ただ、何を受け取るかは観客自身の想像力に委ねるべきであり、その想像力を、言葉によって限定してしまう危険を橋口さんは十分に承知していると思うのですが。イエローストーンの荒野が見えるような、イマジネーションをかき立てられるエンディングだっただけに、あそこでケレン味たっぷりに放たれた言葉に興醒めさせられてしまったのが非常に残念です。
 繰り返しますが「エゾオオカミなんてシートン動物記には関係のない話だから持ち出すな」と言っているわけではありません。むしろ、そこに言及するのなら、エンタメの締めくくりのような扱いではなく、エゾオオカミの絶滅によって北海道の自然サイクルが崩れたこと、また、それを復元しようとする試みもなされていることなどについてもある程度調べたうえで、きっちりと当日パンフレット等で、子供たちにもわかるように(もしくは、親が子供に話せるように)書くべきでしょう。それが、「今、北海道でこのお芝居を作った意義」なのではないでしょうか。
  *  *  *
 話が本筋からそれて行ってすみません(笑。
 総合的にはすばらしい作品であり、審査会で話題にのぼっていた某専用劇場で打たれている某大型商業ミュージカル(ライオンキングです)と比べても、スケールの差は関係なく、甲乙つけがたい感動があると思いました。
 ただ、あえて言うならあと1~2人、人間側役者に人数が欲しかったかなと。時にコミカルに、芸達者な3人の八面六臂の活躍は楽しかったですが、シートン先生(のキャスト)は中盤で颯爽と登場して役に専念してほしかった。その颯爽感や、狼との対決への期待感が、観客の、ハンター側への(一時的な)感情移入を呼び、そこからブランカやロボへの心情の移行を、より共有できたのではないでしょうか。・・・と、多くの事を望んでしまうのも、この作品のレベルの高さゆえだとは思いますが。

■弘前劇場『海辺の日々』

 まず、公開審査会でも話した「自然動物の観察の話」を少し。門外漢なのでニュアンスだけ汲み取って欲しいのですが、生態学的な見地で言うと、そこに観察者(もしくは無人カメラ)の目がある限り、動物の自然なふるまいを観察することはできない――つまり本当の意味での「自然観察」は不可能、とする考え方があるそうです。この作品で言えば、前町長の語るひと昔前の町長選のエピソードや、バスの運転手と役場職員の会話。…僕がもしその場にいても、僕が僕である限り聞くことの出来ない「生身の地方の会話」を目の当たりにできたことがこの作品に一番惚れ込んだ理由です。お芝居を観ていると、「このままずっとこの二人のやりとりを聞いていたい」と思う瞬間がごくたまにあります。お芝居を観る醍醐味のひとつでもある。今回がまさにそうでした。(実際に、こんなに知的な会話が交わされるかはまた別の話なのですが。)
 冒頭に妻のモノローグで語られる「飼い猫の不在」が不安な通奏低音にのようにずっと効いている中、淡々と交わされる人々の会話。最後の最後に帰ってくる猫は希望の証。実際に震災に関する言及もあり、東北で作られ東北を舞台にした作品が3.11を避けて通ることはないのですが、誤解を恐れずあえて言うなら、そういったことを抜きにしても、この、さしたるエピソードがない作品から目を離せなかったと思います。(もちろん、震災と、その後を経た上で完成した作品ではあると思うのですが。)
 見知った役者がひとりもいないという事がプラスに働いたのも事実ですが、作り物とは思えないのは演技力の賜物だと思います。僕は、この作品を今年の大賞に推していました。

■CHANTAC(チャンタック)『Rock Bottom 第2章』
 冒頭からダイナミックな津軽三味線の演奏。たった4~5分ですべてを完結できるという点で、“音楽”はすごいなと思う。それに対して、役者はここから何十分何時間も表現を積み上げていかなければいけない地道な作業なんだなあとつくづく思いました。
 これは、飯野ファンに竹内獅子丸の津軽三味線を、竹内ファンには飯野を通じて札幌の演劇を知ってもらおうという企画なのでしょうね。(竹内さんにセリフがないので)ある意味飯野さんのひとり芝居という体裁で物語が進行していく中、空気感や笑いのとり方には安心感がありました。ただ、物語としては落としどころがある程度見えてしまう展開なのですから、やはり最後はもう1曲、津軽三味線で締めてもらいたかったですね。残念ながら、コラボというよりは三味線の顔見世興行のような感じがしました。(作品は芝居で終わらせるという役者の意地だったのかもしれませんが。)
 企画意図からして一定の制約下での脚本づくりとなってしまうのですから、脚本のバリエーションや、物語の幅を広げるためにも、次回はぜひ竹内さんにもセリフが欲しいところです。(小気味よい身振りで、セリフにも充分期待できると思ったので。)
 余談ですが、個人的には小橋亜樹さんの「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムネタがツボでした。

■劇団ラフスパイス『ドクアミ』

“お笑い”をベースにした演劇作品。序盤はコントライブ?と思いましたが徐々に演劇的要素が強くなり、後半はシリアスな展開に。もちろん好みは人それぞれですが、僕は序盤はほとんど笑えませんでした(会場からは笑いが起きていましたが)。「つかみはコントぽく」だったのかも知れませんが、もっとリアルに自然な間で演じて欲しかったです。オーバーアクションはいいのですが、観客が拾ってくれるのを待つようなテンポが、逆に笑いを半減させていました(少なくとも、僕の観た回、僕の目にはそう感じました)。スベってもどんどん攻めるようなスピード感(間)が欲しかったです。
 半面、産科医が女性に堕胎を考え直すよう促す病院での場面。このあたりは芝居色が濃いのですが、産科医の長セリフが医学辞典からの抜書きのように感じました。「堕胎の危険性を説くキャンペーン」ならこれでもよい(実際、なるほどと思わせる内容でもありました)ですが、そうではないのなら、薀蓄の羅列よりももっと生きたセリフであるべき。最後の最後、エンディングのキレもいまひとつ。
 謎の外国人など、クスリとくる要素はふんだんにあり、小ネタ大ネタ含めて、作品のジャンルや毛色から言ったら、脚本に対する大きな「?」は無いです。実際の舞台でどう見せるか、お客さんにどう見えるか。その部分だと思うのですがいかがでしょう。

■ナランチャ『いにっつぃお』

 予備知識なしに臨んだのですが、緻密な脚本と役者としての表現力に軸足を置いた“知的な笑い”にすぐ引き込まれました。もちろんお笑いに上下はありませんが、やはり “お芝居”と同じで“お笑い”も一括りにはできませんね。
 間のとり方などはなかなかに絶妙で、小林賢太郎ばりの構成力にも感心。ただ、ひとつひとつのネタの落とし方が今ひとつ弱い――考えオチとか小さな笑いとか、それはいいですし、すべてが同じインパクトである必要はありませんが、一個一個の作り込みがまだまだ足りない感じでした。クライマックス近くのナレーション音声(大魔王の声の方です)が少々不明瞭だったのも残念。でも総合的なクオリティはなかなか高いと思いましたし、次回も観てみたいと思う内容でした。

■WATER33-39『バッカス・マラカスは誰だ?』

 TGR2010で客演出したTPS『クリスマス・キャロル』を経て、清水友陽さんの作る芝居が変わるのでは?という声が一部にありましたが、僕は変わらないんだろうなと思っていた中の一人です(笑。WATER33-39のお芝居を観るのは実は今回が初めてなので、実際はどうなのかはわかりませんが。
 ストーリー的なものを追うのはもうハナから無駄だと思っていたのですが、不思議と眠くならずとても興味深く見ていました。難解なようでいて飽きさせない、というさじ加減は非常に難しいと思います。舞台美術や衣裳も素敵でした。難点は意味がほとんどわからないところ。でもそれも意図なのでしょうから言っても仕方ありません(笑。 
 当初頭がフル回転していたのですが、それよりも「ああ、これは演劇と言うより、ショートフィルムのような映像作品として捉えた方が楽だな」と思うきっかけがあり、それ以降は画面を整理し、気楽に、見たいものが見えた気がします。清水さんの中では、描きたいテーマとは別に、その世界を彩るビジュアル(今回で言えば星々と神話のような世界)があり、それを結びつけて作品と成しているのでしょうか。
 女の子に対して禅問答のような答えを繰り返す周囲の人々の話は、彼女が子供だったから理解できなかったのか。晩年のおばあちゃんは、子供心にはこわいものだったのでしょうかね。――閉塞した生い立ちの中で止まっていた彼女の時間が、現実の世界で動き出したきっかけについては僕は具体的にはつかめなかったのですが、少女が成長して、大人の軛(くびき)から離れたということもあるのでしょうか。
 休憩をはさんで後半を半ば過ぎたころに「ここまでのあらすじのまとめ」みたいなセリフがあり、なんて親切なんだろうと苦笑しました。あるいはそれは逆に「あらすじなど無意味だよ」という意味だったのかも知れないですが。現実のような世界に戻った明るいエンディングはほっとするものでもありましたが、あえて分かりやすくまとめられた第2幕は、多少説明過多だったかも知れません。(もっとも、それがなければ、僕は何度見ても何も掴めないのかもしれませんが。)

■パインソー『さいだいのしれん』

 三部作の第3章(最終章)。もちろん、単体の作品として観ても問題ないのだと思いますが、第2章を観ていたので、できれば第1章も観ておきたかったなと。序盤で超ダイジェストで流れた1・2章の映像(ですよねあれ)は、「これまでのあらすじ」のためというよりこの第3章の部品としてとてもフィットしていたと思います。山田さんの守備範囲なのでしょうが、今作は過去作品に比べても、映像や舞台美術がすごく生きているなと感じました。 
 実は僕は、演劇の中で映像芝居を使う事には割と否定的なんです(OPやEDは別として)。いや、使う事自体が悪いのではなくて、相当うまく使わないとライブ芝居との間に温度差ができてしまい、興醒めするからなんですよね。山田さんの使い方は的を得ていると思うし、その山田さんにしても、効果的な必要最低限でしか使わない、という感じがするので、今回も何気なく使っているようで、相当に気を使っているのだろうと思いました。
 前段で第1章を観てみたかった、と書いたのは、それが主役二人だけの短編芝居だったからです。第2章は5人の脚本家が混合で書いた話でした。今回はやたら下ネタが多かったですが(笑)、それは、前回の余分な(と言ったら語弊がありますが)パートを受け持つ脚本家がいなかった分、穴埋めに(と言ったら語弊がry)下ネタに頼ったのかなと。つまり、ツルオカ&藤谷コンビだけで通せば、尺が縮まって終わってしまうお芝居で、結局そこだけでもよかったのかなと。なので僕は、この第3章以上に、二人芝居で行う全章ぶち抜きの作品を観てみたいなと思います。それこそが本当の最終章ではないかと。
 「しれん」からはどうあっても逃れられないよ、そしてその「しれん」と向き合わないと、時は未来へ進まないよ、というのが僕の乱暴な解釈ですが、ストーリーを混迷させた第2章に比べ、下ネタ頼みの今回は身と皮の選り分けが割とたやすかったような気がします。ですから、この作品に限って言えば、脚本が楽をし過ぎなんじゃないかな、という印象でした。
 ※本筋ではありませんが、下ネタに対する潜在的な禁忌が役者さんによって違うからなのか、同じ言葉でもこちらへの伝わり方が違うのが興味深かったです。例えば深浦さんは嬉々として言っているように見え(笑)、その抵抗のなさが僕にはかえって上品に聞こえてしまうのですよ(←ほめ言葉です)。

■チーム馬車馬『貝の火』ほか

 つかみのペープ劇『スシ食いねエ!』と、続くイリュージョン『馬車馬 THE ミラクル』はとてもプロフェッショナルなエンターテインメント。何より演っている本人たちが楽しそうでした。場慣れ感あり。あえて難をいうと『スシ食いねエ!』の1ターン目に操演者の頭がチラチラ見えるのが気になりました。そのターンは、寿司職人の帽子(?)は不要な人は脱いでおいた方がよかったかも知れません。イリュージョンは、特に助手の女性の表情が素敵でしたね。
 人形劇『貝の火』は、海外のショートフィルムアニメーションを観ているかのようでした。映像や舞台装置もとても幻想的で、人形の造形も凝ったものでした。完全に大人向けのクオリティを狙っていると思いましたし、日本語の意味のあるセリフを使わなかったのは海外を意識しているのかも知れません。ただ、その分難解になっていたので、(僕の観た回はほぼ全員が大人の観客だったので)小さい子供の反応がどうかと言う点はわかりませんでした。
 また、劇中、人形が舞台ところ狭しと駆け回るアクションシーン(追いかけっこやジャンプ)がありましたが、観客には黒子(操演者)がどうしても目に入ってしまうので、小さな人形をあそこまで大きく移動させる必要があるのかどうか──小さな子供は喜びそうですがね。
 全体として、隅々にまでこだわりとセンスを感じました。今後の演目にも大いに期待します。

■ミュージカルユニットもえぎ色『Teardrop』

 同ユニットの過去作品『Teardrop』のリメイクだと思っていたのですが、「続編」という位置づけでした。実は前回の『Teardrop』の際、ダンスの激しさには目を見張ったのですが、その他の部分で幾つか気になったことがあったので、今回はより広い会場でどう見せてくれるのか(前回はBloch)非常に楽しみにしていました。
 ダンスに比重を置いたミュージカル公演を行っているもえぎ色のナンバーの中でも、特にショー的要素の強い作品で、期待通り楽しむことが出来ました。劇中歌手をプロフェッショナルなキャスティング(寺田英夫)にしたことで、聴きごたえもあり、出演人数が増え一段とゴージャス感も増した作品でした。メンバーの育成や人脈の広がりなど、カンパニーとしての成長を実感しました。
 (ストーリーの比重は低いとはいえ)前回よりも物語としての工夫もあり、そして何よりドリンクOK、撮影OKという自由な雰囲気が、客席を大いに盛り上げていました。大人向けのミュージカル興行を定期的に行う団体は稀なので、札幌劇場“祭”にふさわしい、貴重な存在だと思いました。
 残念だったのは、ダンサーの歌が伴奏に負けていた場面がいくつか見られたこと。運動量が多いので、いちがいに声量が小さいといってしまうのは気の毒なのですが…。イヤーモニターの使用や、生声にこだわりがあるのかもしれませんが広い会場ではマイクの使用も考えてみてはどうかと思いました。また、主役陣は頑張っていたのですが、主宰自らが中心となって踊った前回の『Teardrop』の第一世代ダンサーの迫力にはまだ追いついていない気がします。さらに今後の成長を楽しみにしています。

■ヨミガタリを楽しむ会『キリガタリシアター ~ジャックと豆の木 ほか~』

 1時間強のステージ、色々な演目があるのに子供たちに終始飽きさせない仕掛けに感心しました。読み語りと切り絵の楽しさを、生演奏(フルート&ピアノ)が倍増させていました。まっつさんの読み語りの魅力や切り絵の楽しさは理解していたつもりですが、単体のパフォーマンスがいくら素晴らしくても、子供達の集中力を終始保つことはなかなかに困難です。全員がとても立体的に機能していたと思います。フライヤーコンテストでの受賞となりましたが、もしかしたらオーディエンス賞のダークホースなのではないか、と思ったほどです。
 『ハチドリの物語』のような、小さいお子さんには少し難しいと思われる演目をあえて入れていることも意義があると思いますが、それも、他の演目で充分に子供達をひきつける自信があるから出来ることだと思います。プログラムの順番もよく考えられていると思いました。

■札幌ろうあ劇団舞夢『舞夢のたまて箱』

 僕が一番見入ったのは「しあわせになりたい」の詩の手話パフォーマンスでした。もちろん、坂本秀男さんの詩自体が素晴らしいのですが、それを伝えたいという演者の想いがとても伝わってきました。
 「駅前」や「地下鉄」などの無言劇もとても楽しかったです。このテのパフォーマンスは舞夢の強みですね。また、耳の不自由なお客さんも問題なく楽しめると言う点で、なるほどと関心する演目でした。「四季」の豊かな表現力にも目を見張りました。
 その他も、それぞれが優しく、または真剣に、勇壮に、どれも真摯に取り組んだ舞台だったと思いますが、客席は老若男女さまざまな客層の方たちなので、例えば小さな子供達には、正直、最初の「君、死にたもうことなかれ」は難しかったと思います。つかみは子供達でも楽しめる柔らかい演目でスタートするなど、プログラム順にいまひとつ工夫が欲しかったと思いました。

■劇団TPS『霜月小夜曲(ノヴェンバー セレナーデ)』

 実は斎藤歩さんの作・演出作品を拝見するのは、たぶん今回が初めてです。とんでもない審査委員もいたもんですが(笑)、そのぶん先入観がないのと、期待たっぷりで観させて頂きました。セレナーデは日本語で「小夜曲」。ノクターンは夜想曲でしたっけか?交響曲、円舞曲…日本語って美しいですね。
 冒頭のホテルのシーンで、客室係がセリフを発した瞬間に、「来たな(笑)」と思いました。しかし、コンビニ敬語を揶揄しながら笑いを取るだけでなく、後半でその人物描写にまで繋がってくるとは思いませんでした。一事が万事その調子で、作品づくりのお手本を見ているようでした。人形劇のシーンは、それ自体より前後の段取りの方が面白かったのですが、芝居の後半、「人形劇やる?」というフリだけで何度も笑いをとるなど、絶対にハズさない作り方はさすがだなあと思いました。
 主役陣の女性三人のキャスティングはまさに絶妙。ですが僕は、林さんと吉田さんの和解のシーンにいまひとつ疑問を持ってしまったのですね。仮にも自分の夫を取られたのに、旧友だからといってその言葉をそう簡単に鵜呑みに出来るものだろうか、と。その辺はやはり男と女の違いなんでしょうか。中立状態の宮田さんが陰に林さんを引っ張ってって「あんた本当にもう隠してる事ないの?」くらい言ってくれれば、僕も納得できたような気はするのですが…。
 とにかくなめらかで上質で見ていて心地よい作品なのですが、あまりの心地よさに逆に反骨心が沸いてしまうという、へそ曲がりで困ったものです。数々のエピソードが収まるべきところに収まりすぎていて…すべてが片づいた後で、移民の話や空豆の話など、黄金分割のようなキレイさがちょっと出来すぎかなと。僕的には三人で歌う「霜月小夜曲(ノヴェンバー セレナーデ)」でエンディングにしても良かったんじゃないかと思いました。TPPの話なんて、斎藤さんの手腕なら前半に突っ込むことだって可能だったんじゃないかと。
 僕もキャンディーズ世代なので、宮田さんがこぶしをまわして歌う「スキ好きセブンティーン」の“らしさ”にはおかしいというより嬉しくなったクチですが……なんだか、誉めているのか批判しているのか、書いているうちにわからなくなって来ましたが、きっと、公演を重ねていくともっとしっくり来るのでしょうか。何度も観たくなる作品ではあります。
 吉田さんの「生きていかなくっちゃね。」というセリフは重かったです。あと、この「道北の三人姉妹」を観ているうちに、斎藤さんの演出する『三人姉妹』も観たくなりました。

■アイ・ワカナ博『アイ・ワカナ博』

 夏に行われた『in→dependent theatre 札幌会場』で、女性版の2作品は既に観ていたのですが、榮田さんの『0141≒3088』はその時よりも食べっぷりがよく(笑)、その分、異様なシュール感があったと思います。ただしこれは一人芝居だからこそ、榮田さんがこちらを見ながら食べているからこその迫力で、続けて男性版『0141≒3088』を演ってしまったのは完全に失敗だったのでは。世界が閉じてしまい、想像の余地が奪われてしまいました。榮田さんがこちら(客席)を見ながら食べているからいいのです。その視線の先に、赤星さんがいると思ったら興醒めです。
 『アフリカ産オスジロアゲハのメス』も前回より更に磨きがかかっていたと思います。今井香織さんはまるでアスリートのよう。体力的にも前回よりコンディションが良かったように見え、その分、演技も確実でした。…いや逆かな?演技に余裕が出来た分、激しい動きが丁寧になったのかも知れません。そしてこちらの男性版『アフリカ産オスジロアゲハのオス』は、前出の『0141~』の男性版と違い、『~メス』を補完しつつ性の違いを見せるという点で、成功だったと思います。(これは僕が男だからと断っておきますが、今井さんより、坂口さんの「おやすみなさい。またあした!」の方がより響きました。)
 失敗と成功を対照的に感じた2作ですが、これは、赤星・坂口の演技の差という以前に、物語の差、なのではないでしょうかね。

■劇団パーソンズ『ハローグッバイ』

 昨年は酷評しましたが、1年経ったとはいえ、その間に1回の公演(残念ながら未見)があっただけでこうも進歩するものかと目を見張りました。客演等、修行の成果も大分あったみたいですね。
 所属役者に男性が一人しかいないのは厳しいな、と昨年思ったのですが、今回はきっちりと客演(村上義典)を入れてきましたね。人脈が広がった成果なのでしょうが、よりよい作品を作るための貪欲な姿勢だと思います。村上さん独特の温かさが作品に活かされていました。
 上手に教室・下手にカフェという舞台で、メインストーリーはカフェで進行するのですが、出ハケは客の来店とイコールなので単調になりがちなところを、教室との場転がアクセントになっていたと思います。
 元ヤンキーの教師・成美と、昔同級生だったカフェのオーナー・麗子、カフェでバイトする無愛想な女子高生・誠。あて書きでしょうがそれぞれに昨年に比べ役作りもしっかりしていたと思います。成美の人物描写が回想シーン頼みだった感はありますが、先へと興味を持たせるストーリーの構築にも昨年より工夫が感じられました。
 麗子の恋人との破局のエピソードは受け入れられるものでしたが、「捨てなくてもいいから、楽しい記憶で上書きしていけばいい」という(ちょっと寒い)セリフで締めたのが残念。待ち続けたのは麗子らしいですが、もし成美なら破局する前に行動したでしょうね。そんな風に結びつけて、成美の教師としての立ち直りのきっかけに繋げていくテもあったかも知れません。
 ホームドラマベースで人と人との心の触れ合いを描くという作風が劇団のカラーと言えるレベルに育ちつつあると思います。派手さや目新しさがない分、丁寧な脚本作りと確かな演技が必要だと思いますが、この1年で多くの事を吸収したように、切磋琢磨してさらに上を目指してください。

■劇団アトリエ『もういちど』

 昨年『ハイパーリアル』で新人賞を受賞した小佐部さんが主宰する劇団。今年は劇団アトリエとして新人賞を受賞しましたが、実は大賞候補作の第1次選考10作品の中にも入っていました。僕もその中に推した一人です。
 僕が選んだ最大の理由は特異な作・演出力。脚本の手法は十人十色で、もちろんどれが正しいということはないわけですが、小佐部さんの脚本の最大の魅力は、観客に向けすべてをきちんと説明しようとるする、丁寧な手法にあると僕は思います。例えば、問題を投げかけるだけではなく「自分はこう思うんだがどうだろう?」と手の内を見せることは、時に自分の思慮の浅さを露呈してしまう危険性があり、できれば思わせぶりに留めて賢いフリをしていたい所です。相手が買いかぶってくれればしめたものですもんね。しかし小佐部さんはそういった方法を選ばないようです。どうせ遠くからしか見せない絵なら細かく描く必要はないのに、髪の毛一本一本まで省略せずに描こう試みる。気が遠くなります。僕ならようやりません(笑。
 昨年の『ハイパーリアル』では、「もしこうだったら、こうならなかったと思う」「こうなったのは、こういう要因があったからだ」といった物語でした。それは「if」の分岐のようですが、現実の人生では、分岐はあっても選べる道はひとつだけ。後戻りも選び直しもできないですからその道を全うするしかない。でも不幸にも選び間違ってしまったら…というのが、この『もういちど』だと思います。
(またもや断定的に書いてしまいました。的はずれでないことを祈ります。)
 劇団としては、学生集団ですから演技力が必ずしも高いとは言えないと思いますが、作・演出の明確な説明力で役者を引っ張っているという気がします。主役のブイを演じた小山さんにも進歩が見られますし、相手役の柴田さんは、カモメ役もさることながら、ワンポイントの海ババア役の際の“立て板に水”のようなセリフが神懸かっていて背筋が寒くなりました。
 今後の課題は、作品としての総合的完成度を高めることと、劇団としては役者の育成と定着だと思います。学生集団であり、進路なども関係してくると思いますので色々と問題はあると思いますが、作品はアンサンブルによって完成するものですから、劇団アトリエがよい方向に進んで行くことを願っています。
  *  *  *
 最後にまた余談ですが、『もういちど』の音楽を担当していたのは、さっぽろアートステージの音楽部門「CROSS ROAD LIVE!」でファイナリストに選ばれたSaKiさんだということでした。TGRに限らず、多くのアーティスト達がコラボレイトしていく中で作品が生まれ、更に広がりと繋がりを作っていくことを実感し、とても嬉しく感じました。

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:松井哲朗さん

TGR札幌劇場祭2011大賞・講評第4弾は、
劇評誌「続・観劇片々」を主宰する松井哲朗さんです。
松井さんは深川にお住まいで、
TGR開催中は定期券を買って毎日のように
札幌と深川を往復されています。
今年も審査員をお引き受けいただき
本当にありがとうございました。

(以下、いただいた原稿です)

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劇場祭に参加された劇団の皆様、大変お疲れ様でした。かつて演劇制作の現場を経験した者として、心身ともにご慰労を申し上げます。

まだ各種の具体的な数字は知り得ていないけど、9日の道新報道によると観客数は去年に比べて約1割増えているということであり、確かに観客が多かったような実感はあった。

それはたとえば、「AND」の楽日には満員で舞台下手袖を開放するという関係者以外には決して観ることの出来ない、見てはいけない稀有な経験をしたことや、「TPS」では連日の満席でついに追加公演をしたことなどでもある。

参加32劇団の中、僕が観たのは30劇団で、同じ期間中に参加していない舞台が4か所もあって、それらを観るために、どうしても割愛せざるを得なかったのは少々残念だが、逆に考えれば、これも札幌の演劇の底力であろう。それらの4劇団はそれぞれのポリシーがあるから参加しないのだろうが、もし参加していたら決して侮れない力を持っている。

個々の劇団には僕なりの感想がたくさんあるのだが、膨大な量になるので、それらはすべて僕の個人季刊誌・演劇随想『続・観劇片々』第35号に任せて、ここでは全体を通じて考えたことを幾つか、少し書きたいと思います。

たくさんの劇団に参加していただいたことはとても嬉しいことなのだが、それらが様々な幅広い思いを持っているので、一つの基準で評価の対象とするのは非常に難しいというのが実感だ。

たとえば一番気になったのが歌劇だ。
「演劇
に対して音楽は「演奏」と言うくらいで、そもそも音楽である歌劇は「劇」の部分が少ないのではないのかと愚考する。
もっとも劇場祭だから「劇」も「奏」も一緒に参加しているのだが、ちょっと困難な選択だ。その証拠に選考会では歌劇が話題に上らなかった。歌劇にも「劇」は付くけれども、これからこの問題を考えないといけないのかなと思う。
ただこれを機会に、今まで関心の薄かった新聞の歌劇評を読むことが多くなった。それによると、どうしても「劇」よりも「音楽」と「ショウ」としての魅力が強いように思われるのだ。
次に原作がある場合の考え方だ。
とても気になったのは去年も今年も大賞になったのは原作のある物語だ。
僕自身は、原作がある作品は、それを取り上げた人たちの原作を超えたというか、原作を通して独自の思いを表現した作品こそ大事だと思っている。原作そのままでは技術の優劣を競うことになってしまいかねない。
その点で最も意見が活発になったのが、大賞になった『狼王ロボ』だ。これはご承知の通りシートンの「動物記」が原作だが、ラストに北海道での絶滅種オオカミのことが入っていた。それを邪道とする人たちと、それこそがこの作品を創った人たちの篤い思いだという人たちとに別れた。
もっともその篤い想いが直接的な表現だと、それは講義か教訓かお説教になってしまう。それをどういう風に演劇として舞台化させるかと言うのが大事なことは言うまでもない。

そしてもう一つ、メッセージと表現方法との関連も大事だ。
舞台の展開に込められたメッセージと、それを表現する技術との兼ね合いということだと思うが、メッセージに固執して表現が劣った作品と、表現に力を尽くして素晴らしいショウを魅せても内容に疑問があったりする場合の選択もむずかしい……
メッセージだって様々な視点がある。そういう風に考えると、どれが良くてどれが劣るのかというのは、およそ不可能ではないのか? とさえ弱気になってしまう。

そんなことを考える中で難産して選出された作品の数々は、そういう困難な作業の中で考えられ創られた素晴らしい作品であることを喜びたいと思い、心身ともに疲労困憊した今、その作業にいささかでも関われたことで小さな自己満足に浸っています。

36日間を思い出しながら、また新しく創られる舞台作品や、再演されるであろう舞台に大きな期待をもって楽しみに待ちたいと思っています。

本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

11年12月13日

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:早川渉さん ②

講評の続きです。

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16、弘前劇場/海辺の日々
言葉が響く芝居。
すべてが(ギャグも含め)静謐(ギャグも含めて)で誠実、賢い。
賢すぎるところが鼻にはつくが・・
311にしっかりと目を向け、目をそらさず、正面から向き合っている。
ささやかな幸せの象徴<猫のサクラ>の不在・・・
田舎の緩やかなコミュニティに異物が紛れ込んでくる。
新しく赴任してくる上村
バスの運転手篠塚
役場の米沢も出身は新潟
メインステージの岡村家も元はよそ者。
一見深いコミュニケーションが存在しているように見える田舎の暮らしに
当たり前の人間通しのつきあいがあるような無いような・・・
みんな携帯気にしてるし・・・
緩やかな光の変化が印象的

おそろしく完成された一幕。

17、劇団ラフスパイス/ドクアミ
カフェのセット。客層若い。
ラフスパイスはラフスパと略すのだな。
カフェの店長と従業員2人と癖のある客(過去につきあったことがある男女)が
繰り広げる恋愛ドタバタ劇。
前半のスピード感が良かった。かなり滑り気味で危ういギャグなのだが、
何とか観客も巻き込み爆笑の渦に。ドリフ的なベタギャグだが、新鮮に感じた。
後半から妊娠した店員のシリアスな話に急転換。
くだらないギャグが繰り広げられる中、おやっと思わせる意外な展開に。
ただ、後半がこのシリアスさにシフトしすぎた感じが残念。
最後まで前半の勢いが戻ってこなかった。

18、CHANTAC(チャンタック)/ロックボトム第二章
飯野智行と三味線奏者竹内獅子丸のコラボ。
飯野君が借金を抱えた適当な三味線奏者、獅子丸さんが記憶喪失の男、そこにマドンナ役で小橋亜樹。相変わらず飯野君のしゃべりが多すぎるし説明的だ。もっと三味線演奏があれば良かったのに。タレント芸としては楽しめたものの、それ以上のモノは感じられない。

19、ナランチャ/いにっつぃお
漫才ネタ、袋を被った相方・・から始まり
大道芸、ゲームセンター、卵1、 開かない箱
しりとり、椅子取りゲーム、フルーツバスケット、バトミントン、卵2.などなど
2人の佇まいが良い。特に熊谷君が。
ネタが上手くリンクしている辺りが憎い。
知性的なコント。
凄くはないが面白くはある。
凄みを身につけて欲しい。

20、千年王國/狼王ロボ
舞台奥までぶち抜いた空間。両サイドに建てられたイントレに括り付けられた照明。
見慣れたサンピアザとは違う、素敵な舞台空間が出来上がっている。さすが。
奥には、生バンド。
見た事はないが、ライオンキングを見に行きたくなった(笑)。
観客席を縦横無人に駆け回り、観客を羊にさせ、 サービス満点の舞台。
今迄見た事の無いサンピアザを見せてくれただけでも大拍手!
惜しむなくは、最後のエゾオオカミのくだりが余分なところ。更にシートン博士の描き方が甘くて、ロボ最期のシーンがグッとこない。などが残念。赤沼君はシートン役のイメージではないかな。
3人の役者はお疲れ様だけど無理に3人にする必要は無かったのでは?
とにも角にも千年王國はエンターテーメントなのだなと。再認識。

21、WATER33-39/バッカス・マラカスは誰だ?
私小説な味わいの舞台。
悪くいえば、雰囲気ばかりでさっぱり訳が分からない。
よく言えば、詩的で切なく奥が深い(ように見える)
自分は昔好きだった福永武彦の「夢見る少年の昼と夜」という中編小説を思い出した。
かつて北海道で起こった夕張の炭鉱事故と311の原発事故。それをつなぐ銀河鉄道的なイメージ・・
演出家のみが知り得る謎だらけの舞台だが、なぜか心地良い感じがした。

預言者のオタマジャクシがいけてる!

22、パインソー/さいだいのしれん
二つに割れたスクリーン?が正面に大きく屹立している
時間を超えて過去に行き自分の人生を変えること。高校の元教師が死んだ?生徒で恋人を探す話?
役者のテンションがみんな同じように高く、疲れる。もっとメリハリがあった方が伝わったのでは?
相変わらず映像の絡め方は上手。
本のスクリーン兼セットも良かった。
下ネタ好きだね(^^)

23、札幌ろうあ劇団舞夢/舞夢たまて箱
アンソロジー集。
「四季」の表現が素晴らしい!
柳と蛙、打ち上げ花火と線香花火。
鮭の遡上とヒグマ、雪原の動物たち。
どれも情景が目に浮かぶ。
「駅前」と「地下鉄」もチャプリンのサイレントコメディを見ているようで楽しかった。
おばちゃんネタはイイですね。みんな生き生きしてます(^^)
演目によってはもう少し短い方が伝わり方が強くなったのでは?特に詩を表現した演目にその辺を感じた。

24、ヨミガタリを楽しむ会/きりがたりシアター〜ジャックと豆の木 ほか〜
まっつさんの読みがたりと切り紙スト千陽さんによるオムニバス。
ライブ感たっぷりで子どもたちも大満足。イキイキとした舞台。
生演奏の女性たちもしっかり出演者として機能していてとても良い。
3歳の娘共々大変楽しめた。

25、チーム馬車馬/人形劇「貝の火 ほか」
寿司食いネェ、シースルー
マジックショー
テンポ良し!掴み良し!
しゃべりが上手!
打って変わって貝の火はセリフをほとんど排した幻想的な人形劇。
影絵の使い方や照明、音響などに対する感覚が鋭い。
今後が期待できる!

26、ミュージカルユニットもえぎ色/Teardrop
ビンゴ大会やってるし、お酒も飲める。
写真撮影もOK!完全にショーですな(^^)
バニーちゃんたちウロついているし。
札幌女性版コンボイショーを目指している、というところか。
どのパートをとってもレベルアップが必要だが、
応援したくなるチームであることは間違いない!!

27、劇団TPS/霜月小夜曲(ノヴェンバー・セレナーデ)
傑作でした。
3人の女優の演技、存在感、役者陣のチームワーク、すべてがビタッとはまった感じ。
2時間弱の演劇的には少し長尺だが、(演出の斉藤歩曰く「姑息な」)楽しい(少し長い)人形劇(宮田さんはスケール的に違和感なし)なども まじえてあきさせずに見せてもらった。
なんだろう・・今までの斉藤歩演出のTPSの芝居に比べると、肩の力が抜けたというか、スッキリとしたというか、まぁ「はまった」というのが適切な感じなのだろう。
主人公の3人娘以外に、由紀の2人の子どもたち、隣の夫婦とその妹、節子の連れのカルロス・・無駄な役が一つもなく見事に「はまって」いる。
惜しむ無くは「ノベンバーセレナーデ」ですきっと終わっても良かったか・・
移民とTPPの話はともかく、豆の話はちょっと消化不良。

とにもかくのも、出会えて良かった。

TPSのチェーホフネタで初めて感動しました。
「生きるんだ」と。

28、アイ☆ワカナ博
「アフリカ産オスジロアゲハのメス」を今井香織が熱演。役者としての技量の高さだけではなくパフォーマーとしてのレベルの高さをみせる。良く身体が動くし息もきれない。真面目で正確さを感じる。オスバージョンを大阪の坂口修一がコミカルにおっさん臭く演じる。役者の表現の仕方で随分と変わるのが面白い。  アゲハと変わらない少年の心、普通に成長して行く男女それぞれを演じ分ける訳だが、正直少し長いし複雑。
イトウワカナは過剰さに生きる作家。
後半はイマイチ。
榮田演じる女子の部はまだしも、赤星演じる男子の部は精彩を欠いている。
イトウワカナの過剰さが食べ物にしか現れていなく、尚且つ未消化。女子編のみならその過剰さが気持ち悪さに繋がって、ドキッとしたかも。

29、劇団パーソンズ/ハロー・グッバイ
ゲネプロを観る。
昨年のTGRで旗揚げ公演を見たが随分成長したなぁ・・と感じる舞台。
元ヤンキーのなるみが教師として変化していく話を縦軸に
カフェに集う人々の群像劇を横軸に展開。
1シーン1シーンの出来は結構良いのだが、全体を通したときの
キャラや設定の踏み込みが甘い気がする。
サブキャラのエピソードや背景も薄い。
もっとがんばれそうな感じ
各役者のポテンシャルは感じるし、劇団の一体感もあると思うので
勢いだけではなくもう少し「丁寧」に台本作りや役作りをしていけば
いいのではないかと思う。
イレブンナインあたりを参考にすればいいのに。

30、東京タンバリン/ゼロからはじめる
長机とイスのシンプルなセットにフレンチポップスのBGM♬
フランス語教室が舞台の分かりやすいウェルメイドコメディ。長机とイスを上手に使ったテンポのいい芝居。役者も絶叫系の大芝居ではなく好感が持てた。
ワークショップ作品のような小品だけど楽しめました。
コンカリーニョよりももっと小さい劇場で見たかったです。
あ、そうそう。アフタートークが最悪だったのが残念!(HTBのお二方の回)

31、劇団アトリエ/もういちど
パステルグリーンの小物、子供部屋?
リコーダーのBGM
音楽家、宗教家と求める自分を探し続ける主人公ブイ、理想の世の中を夢見て政治の世界に進むカモメ、科学を信じ神を否定する科学者ヨドミ。同い年の三人をパラレルに描きながら人間の生きる意味をテーマに饒舌なセリフと大味な演技で突っ走る舞台。
もっと緩急があり、言葉を絞り研ぎ澄ましていかなければ想いは伝わらない。例えばウキとカモメの夜空のシーンなど叙情的なシーンなどおっと思わせるシーンが随所にあるものの、活かしきれていない印象。シナリオと演出が頑張り過ぎていて役者との一体感というか、劇団としての成熟度が低く感じる。とはいえ若手劇団の中では異彩を放つ演出力は注目。なんだかんだと良いながら次回作も見てみたい。

32、札幌オペラスタジオ/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」
最初に紙芝居であらすじ紹介。子ども向けのオペラということでわかりやすい仕掛けだ。
ドイツ語オペラで舞台上に字幕。見づらい。これは毎度のことながら何とかならないのかなぁ・・
特に凝った演出もなく一幕が終わり20分休憩。子どもが多いけどみんな楽しめてるのかな?
後半は美しい朝の情景からスタート。魔女のお菓子の家も登場して盛り上がっていく。
ラストの子どもたちのコーラスが美しくてとても良かった。子ども向けとはいえ、大人も楽しめる入門編のミュージカルという感じだった。

以上32本完走しました。
今年は審査員として最後の3年目ですが、レベルの高い作品に出会えたと思います。
来年からは一般の観客として各劇団の更にレベルアップした姿を追い続けていきたいと思います。
また、映画監督として様々な芝居に触れ、演出面や脚本について新しい発見もありとても刺激になりました。札幌の新しい役者も数多く出会え、前作「壁男」に続き、次回作でも地元の役者に多数出演いただけると面白いなぁと考えています。
TGRの運営に携わったすべての方々、お疲れ様でした。来年以降もよろしくお願いします。
そして、参加した劇団の皆さん、ありがとう。
これからも、熱く!冷たく!激しく!冷静で!そして観客に向き合った丁寧な芝居作りを続けて下さい。次回作楽しみにしています。

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:早川渉さん ①

TGR札幌劇場祭2011大賞・講評第3弾は、
審査員3年目を迎えた映画監督の早川渉さんです。
実はTGRの審査員は3年任期となっているため、
早川さんは今年が最後の審査員となりました。
長い間、そしてお忙しい中、TGRを支えてくださり
ありがとうございました!

以下、いただいた原稿を2回に分けてご紹介いたします。

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今年のTGRも無事終了。今年は3年目にして初めてエントリーした作品全部(全32本)を見ることが出来、良かったです。ほっとしてます。
大賞受賞の千年王國の皆さんおめでとうございます。
今年の公開審査はいかがでしたでしょうか?2年目の今年は、大幅に時間超過してしまった昨年の反省を踏まえて各劇団に対する短評をある程度まとめて審査員に振ることにより、時間短縮と短評の時間を少しでも多く取ろうとしてみました。とはいうものの一劇団あたり1分〜1分30秒ですから個人的には全然話し足りていません。ということで桑田さんではありませんが、「続きはWEBで・・」各公演に関して感じたことを書かせてもらいます。順番は見た順ということで・・

1,リリカル・バレット/リピート
役者の安定感は観ていて安心。
安田役立川君
櫛灘役明逸人
57型アンドロイド 原田充子
そして、神崎教授 大谷健太郎

前売り1500円の価値はある。
役者人を見る意味でもライブの意味はある。

脚本が突っ込みどころ満載。
・なぜ、アンドロイドたちは感情のようなものを持ち始めたのか?
・なぜ、初期化したはずのアンドロイドに過去の記憶が残っていたのか?
・場末の処理場で神崎が夏美型のアンドロイドを作る必要はあったのか?しかもすぐ初期化
・劇中によく登場する「人間の形にしなければ良かったのに・・」その答えを知りたい
などなど・・
この手のロボットものは、古今東西SF小説を始め相当数存在するはず。
今回の作品に、それらに比するほどの新規性や時代性はない。
神崎教授の描き方・・家族を失うという私事によって、内閣官房直属の
ラボラトリーでの研究を私物化する・・に共感は出来ない。
むしろ、非情に見える櫛灘のほうが圧倒的に魅力的な科学者に見える。
櫛灘を主役にした方がおもしろかったのでは?と思われる。
櫛灘の助手である57型アンドロイドとのやりとりも一番スリリングだった気がする。

夏美とエンジェ役は同じ役者の方が良かったのではないか?

ラスト前のエンジェが再び動き出して鉢に水をやるシーン・・
一旦、安田が鉢を持って退場するが、???
その後エンジェが水をやる鉢に芽が出ているのだが、これは奇跡なのか
安田が仕込んだものなのか、不明になってしまった。
BLOCHという小さい小屋での公演だったので役者の良さが目立った芝居だった。

2,ぐるーぷえるむの森/あらしの夜に〜愛と絆の物語〜
昨年も同じ演目で参加されていて、2年連続の参加。
昨年の公演に比べて比べてぐっと良くなった。
ガブ役の役者さんの足が良くなられたせいもあるのだろうが、
美術や照明、音響など舞台に奥行きが感じられる印象を覚えた。
今回は演出や美術、音楽、客演に「座・れら」の皆さんを迎えたそうで、今までの台詞中心のお芝居から無駄のない「見せる」お芝居へと一皮むけた感じがした。
相変わらずメイとガブの2人がいい。特にメイ!
後半の吹雪のシーンからラストに掛けては少しウルっとなってしまったのは。お芝居の山場をきっちりとこの吹雪のシーンに持ってきた演出の力だと思う。
定番の演目としてこれからも大切に上演し続けてほしい。

3、人形劇団ぶらんこ/人形劇 『このつぎなあに』  腹話術 『あっちゃんとあそぼう』
注目はなんといっても腹話術の方。これは伝統芸能だな、と。見られて良かった!
腹話術をライブで見るのは楽しいな。というか、ライブで見ないと楽しくないのだろうな。
上質なボケとツッコミ満載の一人漫才を見せてもらった気分です。
一緒に観に行った3歳の娘はもちろん、場内の子どもたちに大うけ。
人形劇の方は、もう少し見せ方の工夫というか、言葉ではない視覚と聴覚に訴えかける
演出があってもいいのかなと思う。そうすればうちの3歳の娘ももう少し引きつけられたのかなと思います。

4,おかめの三角フラスコ/ボーイズー男の子—
北翔大学の学生中心の新人賞エントリー作品。
タイトルはボーイズだが、内容は完全にガールズかな、と。公演で配られたパンフの絵柄がどろどろとしたちょっと愛憎劇っぽいタッチのイラストだったのでオッと思ったのだが・・内容は割とごく普通のドラマ展開。劇中に、主人公が関わる芝居(古典劇をやっている)のネタが入ってくるのだが、絡め方が何とも中途半端・・普通はベタでもこの芝居の内容が本編に絡んできて良くも悪くも伏線のような感じになっていくのだが、そんな様子は全然無かった。さらにシーンに芝居のらしさみたいなライブ感なりが感じられない。
裕子が寺田た寝てしまった翌朝のやりきれないカンジをもっと追い込んでいければ、もっとヒリヒリした愛憎劇になり得たかも。 あとラストは全くの蛇足!

5,yhs/忘れたいのに思い出せない
飛石、蔦の絡まるベッドに白髪の女性。
玉石、松や木のシルエット。美術良し。
役者がみんな良い。
トオル役岡今日子、父ガンマ役小林エレキの2人がまずイイ。
しかしもっとも良かったのはゲンブとマストの若者ペアだろう。
シナリオや人物設定に全く無駄がないところがすばらしいのだが
特にこの2人の描き方はひりひりするほどリアリティを感じた。
役者、シナリオ、美術、演出など高いレベルで安定しており見ていて
ぐっと引き込まれ満足度は高い。
あえて気になる点を上げれば、母のセンリの台詞、特に中盤の息も絶え絶えになりながら
一言ずつ紡ぎ出す台詞が少し多すぎるかな、と。
聞きづらく見聞きしていて冗長に感じてしまった。
中盤の部分の台詞を押さえて、ラストにその分たたきつけた方が
もっと感動が増したのではないか?

些細なことだが、役所のケアマネージャーのギャグ、滑りすぎ(笑)狙いだろうが・・

6,intro/蒸発
美術がなかなか良い。
雨漏りのするモノトーンの家。左右に椅子。
パトスは袖を作りにくいので、いろいろ工夫している。
芝尾はエキセントリックな設定。
久しぶりの我が家に長男、次男夫婦、従兄弟がやってくる。
なぜみんな集まったかは一切語られない。
家には母と上杉さんという名の犬、隣の家のスマくんがちょいちょい顔を出している。
家にはミーちゃんという娘がいたのだが不在だ。
その理由も語られない。

役者陣は母役の宮沢りえ蔵が圧倒的な存在感を示している。
男性の役者陣が不必要なまでの不条理なアクションを繰り広げ
やれやれと思わせるのだが、母の最後の動きには鬼気迫るものがあった。
一見平和そうに見えるホームドラマが、だんだんと気持ち悪くなり
一人一人のキャラクターがどんどん狂気じみていく流れは、そんなに
目新しいものではないが、今回の脚本はうまかったと思う。
また、ちょっと珍しいというか面白かったのが、登場人物たちへ注がれる視点について。
通常はどんなにエキセントリックで異常でいやらしい人物だろうと、どこかに
人間的な弱さや共感できる部分があり、暖かな視線を感じるものだが・・
今回の登場人物たちは、ひたすら突き放され、まったく異常で共感できない・・
というか、作者の徹底的な冷たい視線を感じる・・といったら言い過ぎか?
ここまで突き放した感じの芝居作りというのは、もしかしたら演出家イトウワカナの
真骨頂なのかもしれない。楽しげに見えてそれはコップの中で踊らされているだけで
作者の視点はコップを外からじっと眺めているような・・・

役者の無駄な動きがどうしても気になるし、場面展開の詰めの甘さなど
演出面の拙さがまだまだ目立つ。
しかし、台詞のここぞという時の強さ・・「本当に家族なんですか?」
鋭い効果音の使い方など、音に関するリズム感とセンスは相当高いと見た。
introの芝居はこれからも注目していこう。

7,座・れら/トランス
鴻上尚史の有名な戯曲(見るのは初めて)。ちょっと懐かしい90年代の香り?
精神病棟を舞台に立場が二転三転する不条理ドラマに高校の同級生三人が繰り広げる愛の形・・・役柄の切り替えが激しい舞台で、役者の力量がかなり問われる内容。かなり健闘はしているもののちと物足りない役者のできか。雅人が天皇になった時の芝居が一番安定していた。
演出面では、場面転換に暗転が多く、もっとスピーディーに出来た方が芝居の流れを切らなくて良かったのではないだろうか。あと、BGMだが、屋上のシーンのみにこだわらず、ももう少しあった方がこの脚本のスピード感にあっていたのでは、と思う。

8,演劇集団遊罠坊~Aso Bin Bou~/羽化
殺人現場の美術
ピンスポに繭が浮かび上がる。
結局のところ「羽化」とはなんだったのか?
トラウマを乗り越えること?
新しい自分になること?
そこの意味合いが明確でない。
テーマがすべてと言うつもりは全然無いが、70分という短い尺の
芝居で「何を言いたいのか」「何をやりたいのか」というメッセージが
観客の全く伝わってこないのは問題があるだろう。
エネルギッシュで魅力的な役者陣・・
現在の捜査現場と過去の事件現場をシンプルな照明の変化だけで
見せきる鮮やかな手際・・
舞台を面白く魅力的に出来る臭いがプンプンしているだけに、
基本であるホンにもっともっと力を入れてほしい。
次回作に期待!

9,弦巻楽団/テンプテイション
テンプテーション=誘惑
この芝居における誘惑の要素とは何か?
松本さんの囁くような声…
小学校時代の甘い郷愁…
オブラートにくるまれた秘密の匂い…
そのすべてが曖昧で優しく、それでいてどこか冷たく悲しい。
過剰に見えてもすべて収まるところに収まる役者陣の演技。今回はなぜか
おとなしく優しげに見える。
舞台中央に構える松の木の圧倒的な存在感と客演松本直人の違和感にも似た存在感のせいか?
何年か先、話の内容よりも空気感をずっと覚えていそうな芝居であった。

10,札幌学生演劇祭 チームFriend/フレンズ
様々な才能を持った10人の子供が集うある孤児院(みんな孤児ではないが) に
取材に訪れた記者。設定はちょっと面白い。
しかし、その面白さを脚本が生かし来れていない。シスターのコンプレックスが孤児院を閉園させる動機になっているが、正直弱いと思う。人の才能を見抜き伸ばす…という稀有な才能にみんなが気付かせてあげるだけで良かったのでは?
10人の才能をシナリオに活かし来れていない。まぁ、集団劇にせざるを得なかったのだろう。今迄の学生演劇の中では、美術や舞台空間の使い方が一番良かった(^^)

11、人形劇団ぽっけ&ばおばぶ&ボクラ/人形劇「ジャックと豆の木」
札幌の人形劇団の実力を再認識させる力作。
オープニングから美しい雲の照明が印象的だ。その後の父が殺されるシーンの透過光と絵を使った暗闇の演出も素晴らしい。
布や大小の美術セット、豆の木や雲の高さを活かした演出など、子ども向けとは思えない斬新で実験的な舞台だった。
その分、人形の操演やセリフ回しなど基本的な部分の拙さが気になる。
この点をしっかりと改善できれば人形劇にして初の大賞も狙えるかも・・
今回のTGRの中でも一番の驚きであり、他の劇団の方にも是非見てほしい内容だった。

12、札幌学生演劇祭 チームLetters/レターズ
うーん、台本がまず幼稚に感じる。大学生というより中学生の子供達が書きそうな台本。
テーマは友情で特に際立った構成も意外な展開もない。シンプルというか何も無い舞台上を小ネタばかり目立つ小芝居が延々と続く。
役者陣も演技のメリハリや演じ分けがしっかりしていない印象。役者の力量の問題というよりも、演出の不在を感じる舞台だった。意思の統一が出来ていない、まとまりがない失敗したワークショップの発表会のような・・・みんな頑張れ!!

13、札幌二期会/オペラ「まほうのふえ」
TGRに審査員として3年目。初めてオペラが楽しめた!
衣装や美術のデザインや色彩設計がとても素敵でした。演出もタブレットを使ったり、
ワザといまどきの言葉の使い方にしたり、工夫が感じられる。更に、会場内を上手く使って身近で飽きさせない演出も良かった。
唄の方では、夜の女王の存在感が際立っていた。

14、演劇ユニットイレブン☆ナイン/プラセボ/アレルギー
足場のセット。機械音が場内に響く。
うざい芝居であり熱い芝居。
普通に考えるとありえないキャラクター設定のお兄ちゃん。
寅さんだってもう少し空気読んでたよな〜
今回の公演の中で一番寂しい芝居・・
プラセボアレルギーというタイトルは気取りすぎ?
「わかっちゃいるけどやめられねぇ!」にタイトル変更。
藤山寛美率いる松竹新喜劇(といっても分かる人少なそう)を見るような感覚・・
こういう芝居が札幌で観られるのは貴重だと思う。
次も目を離せない劇団である。

15、AND/ばらひまわり
超満員 袖からみる。
多分、美しい舞台だったのだろう・・客席から見たかった。

探す人たち
彼女を殺された過去を持つ、すべてを忘れたい男
彼女を求めクラブのDJをする友人・・彼女が出来た後失踪・・殺されるその彼女
父親を14歳の時に殺したという妄想を持つ小心者の青年

待つ人たち
小さい頃から誰からも顧みられず、サラ金から借金をして架空の彼と結婚する女
女金を貸すサラ金の男
下品な女の妹

亀井君の芝居は詩の朗唱のような舞台だなぁ・・

そんな素敵な詩の朗唱を個性的な役柄の役者(でもみんな亀井君(^^))が歌い上げるのだから
これはたまらない。うまく乗れればラブ&ピースな具合に天国まで!

ここまでパーソナルな表現を支え続けた役者たちとスタッフに
惜しみない拍手を!

またざわざわしてきたら、さらに美しく籠もった集団劇の個人劇を見せて下さいませ。

TGR札幌劇場祭2011大賞 審査員講評:秋山孝ニさん

昨日UPした審査委員長・飯塚優子さんの総評に続き、
審査員の秋山孝ニさん(NPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長)より
今年の札幌劇場祭について講評が届きました。
以下、ご紹介いたします。

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今年のTGRの審査は、3・11後の皆さんの意識変化か、私にとって2年目のためか、昨年と違った気持で連日、劇場に足を運んでいました。以下、公開審査会で言い足りなかった点について補足します。

<1> 審査する側についての感想
まず、審査員7名が事前に集まり、昨年の反省を含めて意見交換をし、審査の視点をあらかじめ明らかにしておいたことが功を奏したと思います、その後の意見交換がスムーズでした。私の場合は「素人の立場のこだわり」で、次の三点から審査をしました。
1)まだ一度も演劇を観たことの無い、或いは「敷居が高い」と敬遠している多くのごく普通の市民に対して、劇場に足を運んでもらう努力・意欲が感じられること
2)芝居を通して伝えたいメッセージが明確であること
3)何か新しいものを追いかけている姿
スタートから12月3日最終日まで、自分なりに視座が一貫していたのは、迷いながらの昨年とは大きく異なっていました。
次に、審査員に2名の素晴らしい女性が登用されたこと。多様な演劇の評価では、世代の感性は越え難いものがあると感じていましたので、劇場連絡会が性別・世代を配慮して審査員を充実されたことに敬意を表します。事実、審査の過程で彼女たちの新鮮な指摘は、劇団・劇場にも貴重だったはずですし、私にも新たな気づきを与えてくれました、感謝致します。
三つ目は、当日の事前審査で、大賞候補が昨年よりかなり絞り込まれたことです。確か昨年は各審査員の推薦が多様で20近く第一次候補になり、そこから5つを選考する過程が大変だったと記憶しています。今年は人数が増えたにも関わらず10に集約されました。「多数」がバツで「集約」がマルという訳ではありませんが、「大賞」の位置づけが定着してきたのと、演目自体のレベルアップが図られていると言えるのかもしれません。
四つ目は、「狼王ロボ」が大賞受賞に関して圧勝に見えますが、公開審査の審査員最終選考の結果を検証すると、実は一票差であり、他4候補と僅差で大激戦だったことが分かります、新人賞も同様に僅差でした。結果だけでなく、「多様性」の価値を裏付けるような審査過程は、すごく健全だったと思います。

<2> 劇場・劇団への感想
第一に、「劇場」の個性(メッセージ)が明確になってきたと思います。劇場はただの舞台付ハコではなく、「情報発信の装置・創造の場」であるはずです。今年は市内9つの場が、それぞれ特色を明確に発信していて、私自身もそれを期待して足を運ぶみたいな、そんな心の準備ができました。札幌市内に「面」としての演劇の土壌が育まれて、劇場祭の目的に一歩近づいた気もしますし、劇場関係者の不断のご努力の結果と心から感謝です。
次は、HP、チラシ等により、公演時間・演出家のメッセージ他、事前情報が質量ともに格段に豊富になっていたと思います。その効果でしょうか、各劇場のお客さんは、明らかに増えていましたし、子どもさん達、年配の方々等、多様化していました。昨年もかなり辛口で指摘したので、それを受けての進化とすれば大変嬉しいですね、毎年継続して開催する価値を感じました。

<3> 個別の感想
公開審査会での個別の講評で、私は持ち時間4分の枠で、6分35秒も話をしてしまいました。これまであらかじめ設定された時間内で話をすることには、多少なりとも自信を持っていたのですが、今回はまだまだ話し足りなく、講評の難しさを実感しました。
* やまびこ座:子ども達でいっぱいの客席、開演前に「途中で真っ暗になる部分がありますが、すぐに明るくなりますのでご安心ください」の場内アナウンス、前の席の幼児がにっこり笑いました。
* intro:PATOSに大胆な舞台を創り、「母と子」、「場としての家」、「家族」が壊れていくさまへの問い直し、意欲的チャレンジでした。
* 北海道二期会オペラ(教文):日本語で、2時間に短縮し、役者を身近で等の努力で、家族連れはじめ幅広い聴衆に対して、「マイ・ファースト・オペラ」の提供でした。
* yhs:介護をテーマにすると、今介護を担っている方が興味を持つのでしょうか、ふだんシアターZOOでは見掛けないような、比較的年配の女性が多数客席にいらっしゃったような気がします。
* AND:昨年は正直言って私の理解を越えていましたが、今年はBLOCHで超満員の中、舞台横の端での観劇、役者の方々はやりにくかったと思いますね。普段なかなか見ることが出来ない角度から、役者の出番前の真剣な眼差しと集中力を高めて待っている雰囲気、セリフを語りながら震える指先、観客の真剣な表情等もつぶさに見ることが出来て、いつもの数倍「感激」しました!

<4> 来年度への要望・期待
一つは、昨年参加していた韓国の二劇団、市民・町民劇団が今年は参加していませんでした。単に日程的なものであれば無理は言いませんが、何かこの劇場祭が原因なのかな、と少々気になっています。韓国劇団の鋭いメッセージ、伝統芸能性は忘れ難いですし、観客と一体となった市民・町民参加型劇団は、この劇場祭に刺激を与えるし、存在価値が高いと思います。是非、毎年の参加を期待したいです。
二つ目は、引き続き「幅広い観客に足を運んでもらう努力」を、劇団・劇場にお願いしたいです、特に子ども・生徒達をですね。数年前の韓国・光州で、「公演途中で子どもさんが声を上げても、どうか大人の方々は叱らないで下さい。将来の演劇を担うのは間違いなくこの子たちなのですから」という冒頭の舞台挨拶を想い出します。
3・11以降、芸術・文化の力が見直されています。人間が生きていくには食べ物と居場所だけではないのでしょう、それぞれの土地に根差した芸術・文化が、人々に生きる希望とエネルギーを与えてくれます。それを担う人、それを観る人、そして集う場としての劇場、地域、来年も期待しています!

TGR札幌劇場祭2011大賞 飯塚優子審査委員長 総評

12月4日(日)、cubegardenで行われた
TGR札幌劇場祭2011大賞の公開審査会。
その中で飯塚優子審査委員長(レッドベリースタジオ主宰)が
述べられた今年のTGRについての総評をご紹介します。
会場に来た方も、来れなかった方も
舞台のつくり手側の方も、観る側の方も
今一度、この総評をじっくり読んで
今年のTGRを振り返ってみてはいかがでしょう。

(以下、原稿です)

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「TGR2011 総評」

みなさま、お疲れさまでした。

今年の札幌劇場祭は、たいへん実り多いものになりました。
色々なところで、今年はすごいね、みんな力をつけたね、観客も入っているね
という声が聞かれました。
演じる側にも、観る側にも、たいへんな熱気が感じられ
作品の質も、全体として大きく向上しました。

しかも、それぞれ全く個性も方法も異なる多様な作品がうまれました。
大賞を受賞した千年王国のスケールの大きなミュージカル。
弘前劇場、TPSなど、大人が見て心にしみるストレートプレイ。
演劇的表現を追求するyhsやintro。
熱い情念がほとばしるAND。
若さがキラキラ光るアトリエ。
またやまびこ座の複数の人形劇団と演劇人が作り上げた人形劇は、暖かくて楽し
いアートとしてレベルの高いものでした。

演劇とダンス、人形劇、美術や音楽、映像といった
様々なジャンルのアーティストたちが出会い、深い理解でコラボレートすること
によって、新しい発想が生まれていることも観てとれました。

また今年は、3月の大震災という、人間社会の根幹を問われる出来事があり
現在も、これからも、私たちはこの問いかけに向き合いながら、アートや表現と
関わっていかなければなりません。
それが、今回の劇場祭のどの作品にも、直接、間接に反映されており、作品の深
まりと、表現者としての自覚を促したのかもしれません。

私は今年、エントリーされた全作品、32公演をようやく観ることができましたが、
エントリーされなかった作品や、この時期に市内の他の劇場で行われていた公演
も含めれば、ひと月余りで50を超えるたいへんな数です。
大きな潜在力があり、それでもかろうじて全体を見渡すことができるこの規模は、
ある意味で札幌の幸せな状況と言えると思います。
こうしたなかで、劇場祭が催されることによって
札幌の演劇人どおし、風通しがよくなっている事を感じます。
自分の公演があると他を観にいけない、と言う話はよく聞きますが、今年はずい
ぶんみなさん、がんばって他の劇団の公演を観に出かけていたように感じました。

ここで賞を競うことも意欲のもとになりますが
劇場祭の本来の目的は、他の人がやっている仕事を知り
自分の仕事を見直すことによって、
全体がレベルアップしてゆくことだと思います。
その意味でも、今年の劇場祭は、今後に大きな成果を残すことができると確信し
ます。

札幌は、全国でも注目される演劇の盛んな町と言われます。
いま、札幌で演劇を始めた演劇人が、東京や関西、九州、海外などにも出かけて
公演したり、他流試合をしたりして、どんどん力をつけています。
こうして成長した演劇人が、札幌を拠点として
しっかりと演劇を創り続けられる環境が、今こそ必要だと思います。
そのための環境整備がスタートしています。
どうぞみなさん、大きな視野をもって、
これからも素敵な舞台を見せてください。

第6回 北海道中学生演劇発表大会 結果発表!!

今年もさっぽろアートステージ舞台芸術部門の
プログラムのひとつとして中学生演劇の全道大会、
「北海道中学生演劇発表会」が
11月26日(土)・27日(日)の2日間、
札幌市教育文化会館で開催されました。

●最優秀賞 札幌市立北野台中学校

●優秀賞  北海道登別明日中等教育学校
       砂川市立砂川中学校

全国大会は、2012年8月「栃木県宇都宮市」で
開催されます。

受賞校の皆さん、惜しくも受賞できなかった学校の皆さん、
どの作品も皆さんの熱い思いが伝わってくるステキな舞台でした。
熱演をありがとうございました。

おめでとう!劇団千年王國!! TGR札幌劇場祭2011大賞、結果発表!

いま、一番おもしろい舞台を決める、
TGR札幌劇場祭2011大賞の公開審査会が
12月4日(日)、cubegardenで開催され、
劇団千年王國の「狼王ロボ」が
見事大賞を受賞しました!おめでとうございます!!


今年の受賞者と審査員の皆さん。
イス席の中央が劇団千年王國の橋口幸絵さん。

 

今年は大賞・新人賞をあわせて計32団体がエントリー。
賞は当日の午前中に行われた事前審査会で
まず5つの大賞最終候補作品と新人賞が選ばれました。
ちなみに審査員の7人は、
本ページで紹介していますのでプロフィールなどをご参照ください。

さて事前審査会で決まった新人賞ですが、
こちらは劇団パーソンズの「ハローグッバイ」と
劇団アトリエの「もういちど」が激しく競り合い、
決選投票の末、わずかな差で劇団アトリエの「もういちど」に決まりました。

また、大賞最終候補作品には以下の作品が選ばれました。
●intro「蒸発」
(作・演出:イトウワカナ)

●人形劇団ぽっけ&ばおばぶ&ボクラ「ジャックと豆の木」
(原作:イギリス民話 演出:舛井正博<芝居のべんと箱>)

●劇団千年王國「狼王ロボ」
(原作:アーネスト・トンプソン・シートン 脚本・演出:橋口幸絵)

●弘前劇場「海辺の日々」(作・演出:長谷川孝治)

●劇団TPS「霜月小夜曲<ノヴェンバーセレナーデ>」
(作・演出・音楽:斎藤歩)

※公演順

公開審査会の様子。

そして迎えた公開審査会ではステージ上でエントリー作品の講評、
意見交換、そして最終投票が行われ、
大賞には劇団千年王國の「狼王ロボ」、
特別賞にはintroの「蒸発」と
弘前劇場の「海辺の日々」が選ばれました。

公開審査会では、このほかにも最終候補には残らなかったものの
高く評価された作品として、yhsの「忘れたいのに思い出せない」、
ANDの「ばらひまわり」、座・れらの「トランス」に
審査員奨励賞が贈られました。

また、さっぽろアートステージのキックオフイベント
(11/5・6、札幌駅前地下歩行空間)で一般の方々に
投票していただいたTGR参加作品フライヤーコンテストや、
今年からはじめたオーディエンス賞の結果発表も行われました。

公開審査会のあとには授賞式が行われ、
受賞者に賞状とトロフィー、そして大賞を受賞した劇団千年王國には
副賞として賞金20万円とエントリー料の全額6万4千円、
さらには翌年の再演支援金30万円、次回TGRの参加権(会場使用無料)が
贈られました。

大賞目録を手に。劇団千年王國の橋口幸絵さん。

演出賞を受賞したintroのイトウワカナさん。

作品賞を受賞した弘前劇場に代わってシアターZOOの笠島麻衣さん。

新人賞を受賞した劇団アトリエの小佐部明広さん。

さて、今年も無事、TGRが終了しました。
期間中劇場に、そして最終日の公開審査会に足を運んでくれた皆様、
本当にありがとうございました。

公開審査会では惜しくも賞を逃し涙を見せていた
劇団の方たちもいました。
賞と向き合うその真剣な姿に、多くのスタッフが、
あらためてこの賞の意味を考えさせられました。
あの日、涙を流した皆さん、
涙のぶんだけひとまわりもふたまわりも成長して
必ずまた来年のTGRに戻ってきてくださいね。

このあとこのページでは審査員の皆さんの講評を
掲載をしていきたいと思っています。ぜひチェックしてみてください。

ということで、TGR札幌劇場祭2011大賞・新人賞、
そのほかの結果は以下のとおりです。

●TGR札幌劇場祭2011大賞
劇団千年王國「狼王ロボ」
(原作:アーネスト・トンプソン・シートン 脚本・演出:橋口幸絵)

●特別賞<演出賞>
intro「蒸発」
(作・演出:イトウワカナ)

●特別賞<作品賞>
弘前劇場「海辺の日々」
(作・演出:長谷川孝治)

●新人賞
劇団アトリエ「もういちど」
(作・演出:小佐部明広)

記念撮影おふざけバージョン。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●審査員奨励賞
・yhs「忘れたいのに思い出せない」
(脚本・演出:南参)
・AND「ばらひまわり」
(作・演出:亀井健)
・座・れら「トランス」
(作:鴻上尚史 演出(指導):鈴木喜三夫)

●TGRフライヤーコンテスト優勝(同数のため2団体が優勝)
・ヨミガタリを楽しむ会「きりがたりシアター~ジャックと豆の木ほか~」
・ミュージカルユニットもえぎ色「Teardrop」

●オーディエンス賞
・TGR首位打者:劇団千年王國「狼王ロボ」
・TGRホームラン王:劇団千年王國「狼王ロボ」

※オーディエンス賞は舞台を観劇いただいた一般のお客様に
舞台終了後「星」の数でその作品を評価していただいたものです。
TGR首位打者は最も平均点が高かったものに、
TGRホームラン王は単純に最も星を多く獲得したものに贈られます。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介、 いよいよラスト第7弾!(松井哲朗さん)

審査員紹介の最後は、劇評誌『続・観劇片々』を主宰する
松井哲朗さんのプロフィールとコメントを紹介します。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介⑦
松井哲朗(まつい・てつろう)さん

<プロフィール>

劇評誌『続・観劇片々』主宰。大学卒業後、地元深川市で28年間サラリーマン生活。
その間、約15年に渉って旭川の劇団『河』に所属し、清水邦夫や唐十郎、その他、地元作家の戯曲上演に参加。
その後、東京で再びサラリーマン生活を12年半、その間に演劇随想個人誌『観劇片々』を、随時刊で通算6号を発行。
2000年、65歳で定年退職し地元・深川市へUターン。『続・観劇片々』を随時刊行後、2004年4月の第4号より季刊化。
劇団『シアター・ラグ・203』ホームページに『続・観劇片々』を毎号アップ。

<コメント>

僕が演劇を観るとき

二つの思いがある。まずメッセージを第一に考える。それがなければ、猫が可愛かったり花が綺麗だったりするのとどこが違うのか、などと思うのだ。最近メッセージを拒否する舞台パフォーマンスというのも多いのだが、やはり何が言いたいのかを観たい。
だが、もちろん表現の技法がどうでも良いとは思わない。井上ひさしの言葉に「むずかしことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、(以下略)」とある。
そして次に、映像とライブとは根本的に異なるということも演劇の大事な要件であるということである。
考えていることは結局、ごく平凡な答えになってしまうのだが……

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介第6弾!

今回は、北海道教育大学岩見沢校でアートマネージメント学ぶ、
森彩夏さんのプロフィールとコメントをご紹介します。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介⑥
森 彩夏(もり・あやか)さん

<プロフィール>

北海道教育大学岩見沢校・芸術課程芸術文化コース・アートマネージメント音楽研究室4年生。
大学で舞台芸術のマネジメントを学びながら、札幌市内のカンパニーや劇場で演劇制作・オペラ制作に携わる。
PMFや札響での長期インターンシップ、コンサートのステージマネージャー等、様々な舞台での実践経験も積んでいる。
昨年はさっぽろアートステージに市民記者として参加し、20作品以上を鑑賞。

<コメント>

私は、「観劇中に考えさせられ、しかし最後には引き込まれる」作品が好きです。
上演が始まり、ある程度進んだところで「これはこういう事だろうか、あれは何なのだろうか、さっきの演技は上手だったなぁ」などと思考を巡らし始めるのですが、物語の終盤に差し掛かるとその暇も無いくらいの熱意や迫力が伝わってくる。そして観終わった後の心地良い疲労感。それが感じられる作品に、是非とも出会いたいです。

今年はあなたも審査員! TGRオーディエンス賞を実施します。

29日からはじまった今年のTGR!
劇場に行かれた方はすでにご存じかと思いますが、
受付で配られるパンフレットやチラシやの中に
写真のような用紙が折り込まれています。

これは今年TGRで行う新企画「オーディエンス賞」の用紙です。
TGRでは7人の審査員が「TGR札幌劇場祭大賞」の選考にあたっていますが
これとは別に、観客の皆さんの評価を星の数で集め決定する
「オーディエンス賞」を設けました。
お客様に観た作品を評価していただく機会を設けることで
観劇をより一層楽しんでいただこうと考えています。
星の数であなたの評価をお伝えください!
また、同じ用紙でアンケートも実施します。
今後の札幌劇場祭について考えていくための
データにしていきたいと考えていますので、
こちらにもぜひぜひご協力ください!
よろしくお願いいたします!

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介 第5弾!

今回は(株)ウエスCREATIVE5営業企画プロデューサーの北田静美さんのプロフィールとコメントをご紹介します。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介⑤
北田静美(きただきよみ)さん

<プロフィール>

株式会社ウエスCREATIVE5営業企画プロデューサー。小さなイベントから大きなプロジェクトまで、携わってきたイベントは1000本以上。
1999年から開催の国内最大級野外ロックフェスティバル『RISING SUN ROCK FESTIVAL』の営業統括。
数々のイベント経験と人脈を活かし、2011年2月より『札幌小劇場スタイル』プロジェクトを立ち上げ、
演劇・アート・カウンターカルチャー等の文化をもっと多くの人々に広げてゆきたいと奮闘中。

<コメント>

TGR審査員という大役を仰せつかり、非常に緊張しておりますが、
たくさんの舞台に出合える機会ですので、自分なりに楽しみながら観劇したいと思っています。
私の評価のポイントのひとつは、その舞台が「ビジネスとして成立するのか」という点です。
料金を払って劇場に足を運んで下さるという事は、公演する側もプロフェッショナルとして、
真摯にお客様と向き合わなければならないと思います。
作品の内容が心に残る(楽しめる)ことはもちろんのこと、プロとしての舞台を見せて頂きたい。
そして舞台の楽しさ・奥深さ・緊張感等々を肌で感じることができる作品に出会える事を期待します。
そして今後は、ひとりでも多く方が舞台をひとつの娯楽として、気軽に劇場に足を運んでいただける
環境作りのお手伝いができればと思っております。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員の紹介 第4弾!


今回は(株)インティジェンスanWeekly北海道版の編集を担当する
桑田信治さんのプロフィールとコメントをご紹介します。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介④
桑田信治(くわた・しんじ)さん

<プロフィール>

株式会社インテリジェンス発行の求人情報誌「anWeekly(アン・ウィークリー)」編集担当。自らライティング・写真・デザインワークも行う自称“ただの何でも屋”。記事取材等を通じて札幌の若手演劇人と交流を持つようになり、小劇場での舞台鑑賞に目覚める。興味を持った相手には「取材」を理由にお近づきになるという編集者特権をフル活用し、さらに交流の輪を広げていく。仕事抜きの鑑賞本数も年々増加の一途だが、毎週締め切りを抱える身なので平日の初日がほぼ観られないのが悩みの種。

 

<コメント>

「そんなに興味あるなら何かに参加してみたら?」と何回言われたことか。その度に「皆が始めたら客席から人(一般客)が居なくなっちゃうじゃん」と僕は答えます。素人怖いものなし。いつまでもただの観客として、個人的で的外れな感想を好き勝手に抱いていたい。技術的な巧拙は分からないし、ジャンルや表現方法にもこだわりはありません。リアルに届く言葉や、はっとする表現がたったひとつでもココロに刺されば、それが僕にとっての「面白い舞台」です。(ト言イツツ友情モノニ弱イ傾向アリ←)

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介の第3弾!

今回はNPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長の秋山孝二さんのプロフィールと
コメントをご紹介いたします。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介③
秋山孝ニ(あきやま・こうじ)さん

<プロフィール>

秋山不動産有限会社代表取締役社長、環境系中間支援のNPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長、北海道演劇財団副理事長ほか7つの財団法人役員。北海道における「新しい公共」の担い手育成を目的に、環境・生命科学・芸術文化で幅広い市民活動の支援をテーマに活動中。

<コメント>

3・11以降、芸術・文化の価値が人々に生きる力を与えるとして、高く評価されています。まだ一度も演劇を観たことの無い、或いは「敷居が高い」と敬遠している多くのごく普通の市民に対して、劇場に足を運んで貰う努力・意欲が感じられること、芝居を通して伝えたいメッセージ、問題提起が明確であること、そして何か新しいものを追いかけている姿、等が私の視点です。演劇に興味はありますが、基本的に「素人」の立ち位置にこだわりたい、北海道の演劇人に期待しています!

●今年のTGR札幌劇場祭大賞の審査員は以下の7人。
明日は、桑田信治さんのプロフィールとコメントを紹介します。
・飯塚 優子 (レッドベリースタジオ主宰) ※審査委員長
・早川 渉 (映画監督)
・秋山 孝二 (NPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長)
・松井 哲朗 (劇評誌「続・観劇片々」主宰)
・桑田 信治(株式会社インテリジェンス anウィークリー北海道版編集担当)
・北田 静美 (株式会社ウエス CREATIVE5 営業企画 プロデューサー)
・森  彩夏 (北海道教育大学岩見沢校 芸術文化コース  アートマネージメント音楽研究室所属4年生)

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介の第2弾!

今回は映画監督の早川渉さんのプロフィールと
コメントをご紹介いたします。

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介②
早川 渉さん

<プロフィール>

映画監督・CMディレクター。北海道大学の映画研究会で、8ミリ映画の自主制作を始める。その後、札幌市内のCMプロダクションに入社、ディレクターとして活躍。1997~98年に監督した初の16ミリ長編映画「7/25【nana-ni-go】」が、99年にはカンヌ映画祭国際批評家週間に招待され高く評価される。ほか、国際映画祭でのグランプリ等受賞多数。1998年からフリーの映像制作者として映画、CM、プロモーションビデオなどを手がけるほか、札幌国際大学メディアコミュニケーション学科の講師としても活躍。札幌や夕張でのワークショップの講師を勤めるなど、若手映画人の育成にも力を入れている。2007年、劇場映画「壁男」が全国で公開。

<コメント>

いよいよ今年のTGRが始まりますね。映像畑の人間として普段からそれほど頻繁に舞台を見るわけではないので、審査に中途半端な演劇論的な視点を持ち込むことは出来ません。審査基準で自分がこだわりたいポイントは2つ。1つ目は「舞台でしかできない表現」、ということ。そして2つ目は「チケット代に見合った満足感があるかどうか」ということ。これらは自分が映画を作る際にいつも考えていることでもあります。刺激的な作品に会えることを楽しみにしています!

●今年のTGR札幌劇場祭大賞の審査員は以下の7人。

明日は、秋山孝二さんのプロフィールとコメントを紹介します。

・飯塚 優子 (レッドベリースタジオ主宰) ※審査委員長
・早川 渉 (映画監督)
・秋山 孝二 (NPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長)
・松井 哲朗 (劇評誌「続・観劇片々」主宰)
・桑田 信治(株式会社インテリジェンス anウィークリー北海道版編集担当)
・北田 静美 (株式会社ウエス CREATIVE5 営業企画 プロデューサー)
・森  彩夏 (北海道教育大学岩見沢校 芸術文化コース  アートマネージメント音楽研究室所属4年生)

札幌劇場祭 審査員のご紹介です。

いよいよ29日からはじまる今年の札幌劇場祭。
12月4日には「いま、一番おもしろい舞台」札幌劇場祭大賞が決定します。
賞を決めるのは7人の審査員。一体どんな方が審査にあたるのでしょう。
今日から7人の審査員の皆さんのプロフィールと
審査にあたってのコメントいただきましたのでご紹介いたします。
観劇のご参考に!!

ではまずは、審査員長の飯塚優子さんからご紹介!

TGR札幌劇場祭大賞 審査員紹介①
審査委員長・飯塚優子さん

<プロフィール>

「レッドベリースタジオ」主宰。放送スクリプター、コピーライターを経て、4丁目プラザ企画宣伝部に勤務。
イベントホール担当をきっかけとして演劇と関わる。退社後、芸術文化ホール
建設に関わる市民運動の事務局、財団法人北海道演劇財団の設立事務などを担当。
2000年琴似八軒に「レッドベリースタジオ」開設。アートコーディネーター。札幌学院大学ほか非常勤講師。

<コメント>

愉快でも、つらくても、激しくても、のんきでも、端正でも、ルーズでも、深くても、軽くても、スタイルはどうあれ、見終わって世界の見え方がちょっと変わるような時間にあいたいです。身近な人が思いがけない存在に思えたり、いつもの町が知らないどこかに見えたり、ひとことで世界がひっくりがえったり、あの世とこの世の境目が見えなくなったり、何か見つけたような気がしたり、自分がどこかへ飛ばされちゃったり・・・。

チケットが当たる!道産米が当たる! TGRスタンプラリーを開催!

今年の札幌劇場祭TheaterGoRound2011(TGR)は、劇場巡りをより一層楽しんでいただくために、スタンプラリーを開催します。

期間中(10月29日<土>~12月4日<日>)に、参加劇場でTGR対象作品を1回観劇するごとにスタンプを1個プレゼント。5つ以上スタンプが集ったら、カードに必要事項を明記の上、劇場備え付けの応募箱に投函してください。抽選で来年公演の演劇のチケットや道産米などをドカーンとプレゼント!
カードは10月29日(土)~11月13日(日)まで参加劇場で配布(無くなりしだい終了)。さあ劇場に急げ!チケットが、お米が待ってるゼ!

<TGRスタンプラリープレゼント>
A賞/「札幌演劇シーズン2012冬」チケット
・劇団イナダ組「これくらいのLangit」 25名様
・劇団TPS「亀、もしくは・・・。」 25名様
※「札幌演劇シーズン2012冬」は、来年1月28日(土)~2月25日(土)、市内の2
つの劇場、コンカリーニョとシアターZOOにおいて行うロングラン公演で、劇団イ
ナダ組と劇団TPSが参加します。詳しくはhttp://s-e-season.com/まで

B賞/北海道産米(5kg) 10名様
C賞/新巻鮭        1名様
D賞/道産野菜いろいろ  1名様

当選者の発表は商品の発送を持ってかえさせていただきます。

舞台を身近に!今年も販売!格安回数券。

今年も絶賛発売中!

毎年、あっという間に売切れてしまうお得な回数券!
なんたって500円券10枚綴り5,000円を3,000円で販売!
各劇場にて販売中!
TGR参加全作品に使用でき、お友達と一緒に使ってもOKです。