TGR札幌劇場祭2011大賞
審査員講評:森彩夏さん

TGR札幌劇場祭2011大賞・審査員講評のラストは、
北海道教育大学岩見沢校の芸術文化コース4年生で
アートマネージメントを学ぶ森彩夏さんです!

大変遅くなってしまいましたが
これで全審査員の講評をご紹介できました!
審査員の皆さん、参加したカンパニーの皆さん、
そして劇場に足を運んでくれた皆さん、
ありがとうございました。
それではまた次回のTGRでお会いしましょう。

(以下、森さんからいただいた原稿です)

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札幌劇場祭 TGR2011 全体講評

昨年度、私は市民記者としてさっぽろアートステージに参加し、多くの作品を拝見しました。それでも、中々観に行く機会のなかったジャンルがあります。
人形劇です。今回初めてTGRの審査員となり、エントリーされている人形劇の数々を鑑賞したのですが、「何故今まで観てこなかったのだろう!」と衝撃を受けるくらい「わくわく感」が詰まっておりました。

お芝居を観る楽しみって、こういう事だと思うのです。自分の中で、新しい出会いを見つける場。
こぐま座ややまびこ座では、子供たちのキラキラとした目が印象的で、「非日常に出会うことが出来る空間」という『劇場』が持つパワーを感じました。
札幌劇場祭の楽しいところは、約一ヶ月の間に様々なお芝居を自分で選びながら観れる部分にあるとは思いますが、ここであえて「普段観ないもの」に挑戦することを提案したいと思いました。
特に、今回演劇を作る側に立っていた、参加カンパニーの皆様に。
公演期間が重なり、なかなか他のカンパニーさんの作品を鑑賞する事は難しいとは思いますが、自分が予期する事なかった出会いを発見し、吸収する。きっと素敵な体験になるはずです。

もちろん、人形劇の他にも、今まで何度も鑑賞してきましたカンパニーさんのお芝居は、普段の公演よりもますます力の入った作品を魅せてくださいました。TGRという「特別な期間」が、創作意欲も鑑賞意欲も高めてくれているような気がします。

今回は「市民記者」ではなく「審査員」という、ただ鑑賞する立場ではない使命を受けて参加した訳ですが…当初の私の鑑賞ポイント「観てる間に自分と重ねあわせ、何かを得、しかしいつの間にか作品の中に引き戻されている感覚」を味わうべく挑みました。それはもう、気合を入れて。

せっかくの特別な期間なのだから、細部まで味わいたく思います。
パンフレットは、ゲームで言うところの攻略本のような、もしくはCDの歌詞カードのようなものだと思っています。お芝居が始まる前に一読し、情報を頭の中に入れ、「これはどんなお話になるのだろう」と胸を膨らませます。今回のTGR参加作品は、フライヤーの段階で多く情報が載っていたもの・パンフレットにストーリーのあらすじが記載されているもの・フライヤーもパンフレットもごくごくシンプルに作られているもの、様々でした。
その頭の中にインプットした情報は、お芝居を観る際、スタートの印象を大きく左右します。こんなお話なんだろうなぁと考えていたら違ったり、観劇しながらストーリーを追っているうちに「パンフレットに書いてあったあの言葉、こういうことか!」と発見があったり。
どのようにお芝居を見せていきたいか、カンパニー毎に方針も色々あるかとは思います。私個人の好みで言えば、情報を頭の中に入れてから作品本体を鑑賞するほうが楽しめました。

お芝居というものは、どの劇場で上演するか、そしてどの席どの位置から舞台を観るかでもだいぶ印象が変わってしまいます。劇場に入り、全体的なセットを見渡し、流れているBGMに耳を傾ける。
お芝居はそこから始まっていると思うのです。一体どのような意図でこの曲を選んだのか。何故無音なのか。深読みする楽しみも授けてくれるBGMにもこだわって頂きたいな、と思いました。

各カンパニーの方々の思いの強さは、そのまま各作品から伝わるメッセージの強さに変換されるのだな、と切に感じたのも、今回のTGRの特徴だと思います。「来て頂いたお客様が楽しんでいただければ」、という感覚だけでなく、その公演に向けてどれだけ練習を積んだのか、どんな意識を持って挑んでいるのかがひしひしと伝わってくる作品は、やはり観ていてとても楽しかったです。

これからも長くTGRと関わりたいと思っていますが、年数を重ねるごとに創り込みがアップしていく様子を見ていると、楽しみ・期待度もひとしおです!今回のTGRでは舞台芸術の持つエネルギーをがっつりと感じ取れたので、今後はそれらをも越える熱い作品に触れることができるのをウキウキしながら待ちたいと思います。
また11月、さらに磨きかかったお芝居を魅せてくださいね!!

TGR2011に関わった全ての皆様、お疲れ様でした!

森 彩夏