札幌舞台芸術賞
審査委員 講評&メッセージ②
今回は、土屋孝浩氏(北海道新聞演劇担当記者)の
講評&メッセージです。
土屋氏は海外出張のため、残念ながら
11月26日までの上演作しか
観ていただくことができませんでした。
お忙しい中、ありがとうございました。
以下、土屋氏からいただいた原稿です。
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11月26日までの上演作で印象に残った劇団は、
イレブン☆ナインと、弘前劇場です。
イレブン☆ナインの作品「サイレンとサイレント」は、
劇団フィクションが今年9月に道内で上演した
「しんせかい」という作品と同様な設定ながら、
味わいといいテンポといい、笑いのツボといい、
よく料理されていると感心しました。
強いて言えば、結婚や自殺、犯罪歴を持つ人たちの
人生観といったテーマが、
シリアスシーンのわりには軽く扱われていたり、
ステレオタイプにすぎると気になる個所もあるにはありました。
お笑いシーンと混在する全体構成の中で、
どこまでギアチェンジが可能なのか。
脚本と演技の両面からもう少し整理できるように思うのですが。
とはいえ、最後まで客を引き付ける構成力と迫力は他を圧倒していました。
弘前劇場は舞台の上で人物が生きている、
と感じた唯一のステージでした。
演技力と演出力がかみ合った賜物でしょう。
TPSの「秋のソナチネ」は、
本番1週間前の通し稽古しか見ていません。
本番で人物の造形と関係性がしっかりと浮き上がれば、
より印象に残るものになるだろうと推察しました。
そのほかの作品についてもひと言ふれたいと思います。
劇団SKグループは役者陣の情熱は伝わりましたが、
芝居のヘソがどこにあるのかはつかみあぐねました。
復活の日を楽しみにしています。
ルート1は「次に何かが起きるのでは」との
見る側の期待を見事に裏切る等速運動系の舞台でした。
劇団シアターⅡの作品は戦争の中で起きる狂気を
謎解き風に見せてくれた意欲作でした。
劇団新劇場は年季の入った役者陣をそろえていて
表現力はさすがでした。
ただ、多すぎる台詞に苦しむ姿には同情を禁じ得ませんでした。
韓国の青い演劇村は、古典劇の味わいでした。
「一人芝居祭り」では、劇団イナダ組の野村大が
電話という小道具をよく生かしていて印象に残りました。
THE BIRDiAN GONE STAZZICは、
本気でホラー路線に挑んでみたらどうか、
と思ったのは私だけでしょうか。
結成8年目のカプセルは、切れ味のいい鋼の刃を
わざと紙やすりで丸めたような中編コントが持ち味。
研ぎ澄ませたときの表現も見てみたいものです。






